アジア航測ら5者から成るコンソーシアムは、作業員の生体データと位置情報を取得して、建設現場の安全管理と生産性向上に役立つウェラブルIoT技術を橋梁(きょうりょう)工事で試験運用し、有用性を確認した。この技術では、作業員の心拍数や位置情報、姿勢、加速の回数、つまずき回数を高精度に取得することで、健康状態、現場の配置状況、作業効率などを可視化する。
アジア航測を代表とするコンソーシアムは、建設現場におけるウェラブルデバイスを用いた作業員の生体データ取得と現場の安全管理システムの試行で、国土交通省が推進する「建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト」に採択され、実現場に適用した。
コンソーシアムは、アジア航測、日本国土開発、関西大学、関西総合情報研究所、ミズノで構成。ウェアラブルIoT技術のシステムは、アジア航測が開発した「GNSS・9軸センサー」と、ミズノ製の「ワイヤレス脈拍計」、基準局(GNSSアンテナなど)から成り、人の位置と動き、心拍数をリアルタイムで取得する。
GNSS・9軸センサーは、9(縦)×6(横)×3(奥行き)センチのコンパクトサイズで、専用ウェアのポケットなどに装着する。脈拍計は、7(縦)×3(横)×2(奥行き)センチ、重さ35g(グラム)で、ヘルメットや衣服に固定して、測定端末を作業員の耳たぶに挟んで脈拍を測る。
現地での実証実験は、国土交通省四国地方整備局が発注した「2017-2018年度新町川橋下部(その3)工事」(徳島県徳島市)の施工現場に適用し、工種別に2期に分けて実施した。
第1期は2018年12月10日〜14日、鋼管杭打設で作業者7人が対象。第2期は2019年1月28日〜2月1日と2019年2月4日〜8日の2回、掘削、土留支保工で延べ11人が被験者となった。
現場では、作業員がウェアラブルデバイスを身に着け、GNSS・9軸センサーは基地局と接続し、RTK測位により、CMレベルでGNSS情報を取得して、正確に作業員の位置情報や動きを把握。脈拍計ではリアルタイムで心拍数を読み取った。さらに、高解像度カメラも設置し、各種IoT機器によって、健康状態の確認、安全確保のための分析、工種別の作業負担の把握など、総合的な現場管理を行った。
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