帝人が開発した不織布ベースの天井材「かるかべ」、石こうボードと比べ10分の1の軽さ住宅・ビル・施設Week 2018(2/2 ページ)

» 2018年12月20日 06時00分 公開
[石原忍BUILT]
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高機能繊維を木材に挟み込んだ大スパンを実現する新木材「AFRW」

 かるかべの重量は、従来の網入りガラスと比べ、10分の1まで軽量化。取り付けは、パネルタイプとテンションタイプの2種類。パネルタイプは、万が一のシート弛みも現場で追加部品なしで、テンション調整ホールでユニットの長さ調節も簡単に行える。

 テンションタイプは、両端部に装着した「衝撃吸収バネ」で、地震で建物全体と天井が別々の揺れ方をする時に発生する変位を吸収し、フレーム自体が落下する可能性を低減する。近年発生した大規模地震では、人命を守るはずの防煙垂れ壁のガラスが飛散し、けがをする2次災害が多発しているが、こうした火災以外の災害をも考慮された製品設計となっている。

これまでの木造建築では不可能だった開放的な空間設計が実現

 ブースでは、注目を集める「AFRW(Advanced Fiber Reinforced Wood)/高機能繊維強化集成材」のサンプルも陳列した。AFRWは、炭素繊維やアラミド繊維といった高機能繊維を木材の間に挟み、高い強度を持たせた複合材料。木材が持つ軽量性、断熱性といった長所はそのままに高い剛性や耐久性を持つ。

 従来の木材に比べても“たわみ”が少なく、高い強度を持ったまま断面積(梁せい)を小さくできるので、ロングスパンでの使用も可能。これまでの木造設計では実現できなかった天井懐の圧縮や大きな開口部など、開放的な空間が設計できるようになる。

 また、床板をCLT(直行集成板)にすることで、小梁を減らすなどすれば、施工を単純化し柱の無い大空間も実現する。

炭素繊維を集成材の間に挟み込んだ「AFRW」の展示

 他の出展品では、帝人がマキタと共同で開発し、2018年4月から販売を開始している内圧式クーリング構造の「ファンジャケット」の着用体験も行った。

 ファンジャケットは、外側と肌側の2層構造の生地の間に、空気を通す内圧式クーリング構造を備える。外側から空気を取り込み、ジャケット全体に行きわたらせることで、衣服の膨らみを極小化しながら、炎天下で働く作業者の体を冷やす。

 製品開発では、帝人が保有する縫製品の評価技術を用い、裏地全体からの通風に加え、血液循環に有効な首の付け根や腋下、胸元などに排気口を配置。空気の最適な流れを考えているため、優れたクリーニング効果を発揮する。

 ファンユニットはマキタが設計したもので、厚さは39.5mmと従来品に比べ5.5mm薄くなっている。専用バッテリーを使用しているため、マキタ製の電気工具と電力を相互に融通することもできる。

内圧式クリーニング構造の「ファンジャケット」
キタ製の電気工具とバッテリーを共有
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