適用範囲としては、組み立てられた型枠にコンクリートを打ち込むことで構築される新規のコンクリート構造物あるいは部材のコンクリート面。対象とするコンクリート、タイル張り工法およびタイルは、コンクリートの設計基準強度21N/mm2(ニュートンパー平方ミリメートル)以上、36N/mm2以下。コンクリートの種類は、「JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)」の普通コンクリートで、タイル張り工法は、セメントモルタルによるタイル後張り工法のうち、「コンクリート下地壁タイル直張り」を対象。タイルの形状・大きさは、小口平、二丁掛、100角および50二丁以下。
性能評価では、建設9社が提案する施工マニュアルに従って、施工された建物外壁のタイルを含む張付け材料は、温冷繰返し抵抗性試験または軸ひずみ繰返し試験を実施した後の試験体で、引張接着強度が0.4N/mm2以上だった。繊維を植え込んでいないコンクリート素地と比較すると、促進中性化試験による中性化深さは同等以下。せん断接着試験で、コンクリート躯体との境界面が剥離した後も張付け材料の自重に対し10倍以上の保持力があると認められた。
また、「軸ひずみ繰返し試験」後に、「せん断接着試験」を行った従来工法の試験体は、変形が1.5〜2mm(ミリ)ほどではく落。一方、同様の試験を実施した新工法の試験体では、約10mmの変形を与えてもはく落しないことが確認されたという。この結果から、地震などの大きな変形の際にも、はく落に対する安全性が担保されると考えられる。
淺沼組の担当者は、「当社施工の建築物件4件で既に試験適用している。第三者被害が想定される通行量の多い屋内の壁面でも、本工法を活用することはできる」。今後9社では、自社の施工物件で、繊維植込み工法の活用を提案していく。適用実績を積み上げ、本工法のさらなる展開を図っていくとした。
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