インタビュー
» 2018年08月17日 06時00分 公開

日本屋外広告フォーラム 杉本委員長(ADK局長)に聞く:「屋外広告×ソーシャルメディア」の可能性を調査・研究、日本屋外広告フォーラム (2/4)

[石原忍,BUILT]

屋外広告とソーシャルメディアの親和性を探る

 現在では、DECの更新を定期的に行っている他、スマートデバイスの成長を考慮して、屋外広告とSNSをはじめとするソーシャルメディアの親和性、デジタルサイネージ(DS)・ビジョンといったデジタルOOHの可能性を探る試みにシフトしている。

屋外広告の今日的な価値を研究

 2017年度の調査研究では、消費者の行動が変化している中で、屋外広告の今日的な価値を捉えることと、デジタルOOHに求められるコンテンツなどの受容性をアンケートで調べた。アンケートは2017年12月にネット上で、1都3県在住の15〜59歳の男女4991人を対象に実施した。

 アンケート結果をみると、SNSとの関連性では、SNS投稿者は非投稿者に比べると、屋外広告との接触率が高く、屋外広告を写真に撮り、投稿することや友人が撮った屋外広告の写真を見かけることが、他メディア広告との比較で最多となった。屋外広告は、通勤・通学で、町に出歩く若年層を中心に接触率が高い傾向で、そのためメディア広告の中でも、TwitterやInstagramなどを通して、閲覧さらには拡散される対象となっている。

SNSとの関連性アンケート結果

  屋外広告のイメージでは、都内8カ所の来街者をターゲットに、屋外広告の印象を聞いたところ、渋谷来街者は、他にはないワードの「にぎやか」がトップ。秋葉原は「流行が分かる」「楽しい」、原宿は「迫力がある」「流行が分かる」が上位となり、来街する街の特性が表れた結果となった。

来街者別 屋外広告の印象

 デジタルOOHの項目では、必要なコンテンツとして「天気予報」「最新ニュース」などの現行で既に存在するコンテンツが挙げられているが、その他では、「季節に連動した広告」「天気や気温に連動した広告」といったデジタルOOH特有のコンテンツへのニーズが強い。

 外部データと連動してクリエイティブ(放映内容)が変化する屋外広告は「ダイナミックDOOH」と呼ばれ、電通が展開したサントリー金麦の桜の開花時期と連動したサイネージ広告、コカ・コーラの全国5都市でエリア・天気・気温・時間などとリアルタイムで連動して、最適なメッセージや動画などを流した事例が有名。こうしたダイナミックDOOHのようなデジタル特有のコンテンツのニーズは、非常に高いことを裏付ける結果となった。

デジタルOOHに関するアンケート結果(必要なコンテンツ)

 2つの定量的な調査以外に行った実験的な試みでは、「屋外広告ウォチャーズ」と題した定性調査を2018年1月に実施した。都内8カ所の繁華街で、目についた屋外広告を撮影してもらい、理由とともに専用サイトにアップしてもらった。結果、11日間で一般参加者12人によって撮影された広告は136素材(看板・ボード58、ポスター47、その他31)。なぜ撮影したかの理由は、「興味・関心を引いた」「知らなかったことに気付いた」「クリエイティブに引かれて」などの意見があった。

 2018年度は、Webとの関係性やSNS拡散の具体的な追跡、コンバージョンへの影響などについて明らかにする予定。

 今後のフォーラムの方向性については、視認率推定システムはまだまだ業界に浸透しているとは言い難く、北海道から沖縄までの代理店・媒体社の加入促進を進めていく。

 また、市場全体を俯瞰すると、ここ数年の屋外広告全体の市場は、3.11以降の夜間点灯自粛により、広告掲出が自粛された3〜4年前の底の時期と比較すると、若干盛り返してきている。

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