酷暑が続く炎天下の建設現場で、作業員の体調管理をどう管理するかは、人手不足が叫ばれる建設業界において入職者を増やすための課題の1つとなっている。ここ最近では、繊維メーカーや大学機関がウェアラブルIoTや生体データの取得・分析システムの開発に乗り出すなど、取組みが始まっている。
橋梁(きょうりょう)や建築鉄骨などの鋼構造物工事に強みがある川田工業は、京都に本社を置き、繊維製造からクラウド環境構築までウェアラブルIoTの開発に特化しているミツフジの「hamon」を現場で導入し、建設現場向けに共同開発した。
川田工業は、2017年9月から協力会社の鉄筋工、型枠工を中心に、二つの現場で50人以上がhamonを着用して実証実験を行い、その結果を踏まえて、ミツフジとともに建設現場向けにカスタマイズした。現在では、都内の建築現場をはじめ、川田工業システム建築が手掛ける「ミツフジ福島工場新築工事」で、約30人の生体データを取得し、日々の健康管理に役立てているという。
ウェアラブルIoT「hamon」は、ミツフジが開発した導電性の高い銀メッキ繊維を活用したシャツ型のウェアラブルデバイス。ウェアの着衣型生体センサーで取得したデータは、小型のトランスミッターでクラウドにアップロードされる。クラウド上では、データの集約と分析を行い、現場の管理者は作業員のストレス値や眠気の予兆を含む個々の体調をPCやタブレットなどを用いて把握する。危険予知として、加速度データによる転倒検知も行っている。
今後は、生体データの変化によって、表示順を変更する「ソート機能」、体調変化を予測して休憩のタイミングをメールで通知する「アラート機能」を実装する予定。
川田工業では、次の展開として、作業員の位置情報を把握して、安全性の向上と工程管理への応用に取り組んでいく。
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