地盤ネットホールディングスは、戸建住宅向けの地盤調査を、自動で行えるシステムの開発に着手する。従来、人の経験や勘で判断していた土質の評価に統一基準をつくり、効率良く、かつ高精度に調査を行えるようにする狙いだ。
地盤ネットホールディングス(以下、地盤ネット)は、子会社の地盤ネット総合研究所とJIG−SAWと、軟弱地盤の自動センシングシステムの共同開発を開始したと発表した。戸建住宅向けのシステムで、液状化などが発生しやすい軟弱地盤の事前検知の効率化や高精度化に役立てる狙い。
地盤ネットはJIS規格に準拠した戸建住宅向け全自動地盤調査機「iGP(アイ・ジー・ピー)」を開発するなど、地盤調査のデジタル化を推進している。現在同社はこの全自動調査機と、独自開発の土質サンプラーを使用した土質採取による解析を行っているが、「これまでの住宅向けの地盤調査というのは、人的な判断に依存しており、数値的根拠が存在しない」という点を課題に挙げる。
そこでIoTデータ基盤の構築や、データコントロールなどの分野で実績を持つJIG−SAWとの共同開発により、まず、腐植土などの軟弱地盤を検知し、評価を行うセンシングシステムの開発に着手する。具体的にはセンサーデバイスで取得する客観的な土質の情報と、人による土室の判断結果をすり合わせていくことで、相関性を検証していく。こうしたデータの積み重ねによって、数値的根拠の基準を形成していく狙いだ。統一した基準をつくりことで、評価のバラつきを低減する。
分析用土壌サンプリングや腐植土、液状化の定義を地盤ネット総合研究所が担当し、サンプリングから土質データを取得するためのセンサーおよびセンサーデバイスは、JIG−SAWグループと技術提携及び共同開発契約を締結しているロームグループのラピスセミコンダクタが行う。
センサーデバイスは土壌の温度、pH、電気伝導度(EC)が測定でき、リアルタイムモニタリングが可能だという。このデバイスの制御や監視、さらに取得した膨大なデータの運用・活用に必要なシステムをJIG-SAWが提供する。
このシステムにより、将来はこれまで人的判断で行っていた土質の調査を、無人で効率よく、かつ統一の基準のもとに行えるようにする狙いだ。「例えば、調査対象となる現場でセンサーを使って土質を調査し、そのデータをクラウド上あげればすぐに判断結果が出るというようなシステムをイメージしている」(地盤ネット)としている。
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