このシミュレーション手法において、ベースとなるのは劇場のBIMデータだ。BIMデータをシミュレーションモデルとして活用することで、数千人規模の大ホールであっても、可視率の解析から可視化までの表示を、1ケース約30分で完了できるという。短時間で解析・評価を行えるようにすることで、入念な座席計画の検討を行えるようにした(図2)。
座席や手すりなどによる影響だけでなく、前列観客の体や頭などによる視線の遮蔽も考慮することができ、イベント別の座席配置や観客の特性に対応した舞台の見通しを確認できる。全ての座席から舞台を見たパースを作成することなく、全席の可視率の解析結果は色分けされて可視化できるようになっている。このように見えやすさやビジュアルとして把握できるため、顧客と設計者の情報共有にも有効だという。
今後大成建設ではこの可視率を用いたシミュレーション手法を、劇場や音楽ホールに加え、大会議場や会議室などの集会施設、競技場や体育館などのスポーツ施設の設計にも活用していく計画だ。
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