老朽化不動産を強くもうかる資産に「再生」、旧耐震基準も対応:FM(2/2 ページ)
老朽化した不動産の改修には、青木茂建築工房のリファイニング建築の手法を活用する。これは同社が開発した独自の建築手法だ。リフォームやリノベーションと異なり、耐震上問題のある建物の耐震性能を、軽量化をなど、ブレースなどに頼らない補強方法で現行基準レベルまで向上させる。既存躯体の約80%を再利用することで、建て替えの60〜70%のコストに抑えながら、大胆な意匠の転換や用途変更、設備一新を繰り返し行い、建物の長寿命化を図る(図2)。
図2 リファイニング建築の事例(クリックで拡大) 出典:三井不動産
同手法では法的な部分についても単体規定については全て現行法に適合させる。特に構造については調査、診断、補強を行った上、工事過程全ての履歴を残し、新たに確認申請書を提出する。これにより竣工後は完了検査済証の交付を受けられる。さらに青木茂建築工房が業務協定を行っている金融機関から一定基準を満たせば長期融資を受けられるため、資金面の課題もクリアできるという。
今回提供するサービスでは、改修後の建物を賃貸事業を手掛ける三井不動産レジデンシャルリースがサブリースを行う。なお、耐震補強を含めた改修工事は、三井不動産リフォームによる施工も可能だ(図3)。
図3 サービスのイメージ(クリックで拡大) 出典:三井不動産
- 高層ビル屋上に巨大な「振り子」、長周期の地震動対策に
南海トラフ沖地震の発生が懸念される中で、高層ビルの長周期振動対策の重要性が高まっている。大成建設は三菱重工メカトロシステムズと共同でこうした長周期地震動による高層建造物の揺れを低減できる「T-Mダンパー」を開発した。屋上に設置する振子式の装置だ。
- 高層住宅向けの新型免震、骨組みと壁の相乗効果で振動制御
大成建設は、鉄筋コンクリート造の高層住宅を対象に、高強度・小断面の柱、梁部材で構築した骨組みに、連層壁(建物中央低層部に複数層に渡り連続して配置されている壁)とオイルダンパーを組み合わせた新しい地震対策構法「TASS-Flex FRAME」を開発した。この技術の適用により、長周期・長時間の地震にも優れた耐震性を有し、高付加価値な高層住宅の建設が可能となる。
- ビルの免震改修に新工法、設備の更新と合わせて省エネ・省スペースも
竹中工務店はビルの設備機械室がある階を免震改修する工法を新たに開発した。設備機械の更新を同時に実施しながら、空きスペースを作って免震工事を段階的に進める。北海道庁を耐震改修する事業で初めて採用したところ、ライフサイクルコストを30%削減でき、省エネと省スペースも実現した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.