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» 2015年12月18日 07時00分 公開

エネルギー消費が“正味ゼロ”のビル、実現にはまず50%の省エネが必須へ省エネ機器(2/5 ページ)

[三島一孝,スマートジャパン]

ZEB実現のノウハウの欠如

 2009年に行われた「ZEBの実現と展開に関する研究会」では2030年頃までの技術革新を見据えたZEBの実現可能性について評価を行った(図2)。

photo 図2 ZEBの実現可能性に関する評価(事務所(クリックで拡大)出典:ZEBの実現と展開に関する研究会

 これらの評価に基づき、ZEB実現に向けた要素技術の開発については、政府の支援なども含めてさまざまな開発が進められてきた(図3)。しかし、これらの技術を組み合わせて、ZEBを実現するような設計手法や建築方法などは、ノウハウの確立や共有化が行われておらず、ZEBを実現するためには毎回それぞれが試行錯誤しながら建設しなければならない状況が続いており、有効な実証が進められていない。そのため経済合理性のある形でZEBが実現できるのかどうか分からない状況である。

photo 図3 ZEBの要素技術の開発動向(クリックで拡大)出典:ZEBロードマップ検討委員会事務局がそれぞれの資料から作成

ZEB実現の動機付けが乏しい

 さらに、先述したノウハウや経済合理性の欠如とも関連するが、建築主やテナントにとってZEBを利用(建築)するメリットが生まれなければ、ZEB実現への動きは起こらない。しかし、現状ではZEBのための追加コストが必ずしも経済合理性に見合うとは限らない状況だ。つまり建築主にとっては「ZEBに取り組むメリットがない」という状況だといえる。

 ZEBの利点としては、光熱費削減やエネルギー自立化によるBCP(事業継続計画)性能の向上などがあるが、現実的にはこれらを利点に感じている建築主やテナントは少ない。またZEB化への設備投資は建築主が負担する一方でテナントにとっては光熱費削減のメリットがあるという状況で、それぞれの利益が一致していないという問題を抱えている。

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