Matterportの建設現場での急速な普及を後押ししているのが、LiDAR搭載の最新カメラ「Matterport Pro3」の存在だ。
Pro3は、360度カメラとレーザースキャナーを合体させたようなカメラだ。写真解像度は超高精細な撮影性能(134メガピクセル)を実現しながら、1スキャンあたりの所要時間はわずか18秒程度(標準濃度設定)。計測精度は10メートルあたり、±20ミリメートルを誇り、最大で半径100メートルの範囲を測距可能だ。しかも、導入コストは一般的な地上型レーザースキャナーの約6分の1に抑えている。
Matterportには、現場のニーズに応える強力な新機能が次々と追加されている。「スペース統合(マージ)機能」は、複数のスキャンデータを結合して、1つの大規模なモデルに統合できる。「二画面比較機能」を用いれば、異なる時期に撮影した2つの空間を並べ、工事の進捗確認や施工前後の比較も可能だ。
撮影中に重要なポイントへメモを付与できる「フィールドタグ」は、事務所に戻ってからの整理が必要なくなる。空間を更新した際も「タグのインポート/エクスポート機能」で、既存の注釈情報を一括で引き継げる。
こうした機能拡充で、Matterportは単なる記録ツールから、現場管理を包括的に支援するプラットフォームへと昇華した。
Matterportの導入は、業務効率化として目に見える成果を上げている。東急建設の事例では、1日掛かっていた現調の時間が2時間に短縮した。
東急建設では、Matterportの操作の簡易さを生かして、現場の3Dデータ化を「内製化」した。専門業社へ依頼せず、自社の社員が必要に応じたタイミングで自在に撮影しているため、外注費の削減だけでなく、意思決定の迅速化も果たしている。
高価なスキャナー1台分の費用で5〜6台のMatterportを購入できるため、複数拠点へ横展開しやすく全社的なDXの推進力にもなっている。
鳥取の美保テクノスでは、BIMソフトウェア「Autodesk Revit」との高度な連携に注力している。
Pro2/Pro3カメラで取得した点群データをRevitに取り込んで、BIMモデルを作成する「Scan to BIM」を実践。建物の改修案件などでは図面の残存していないケースも多いが、点群データをMatterportで取得し、BIMモデルの作成を効率化した。BIMモデル作成に必要な測量データの取得(寸法測定作業)に掛かる工数や従業員の移動コスト、個人誤差、測定漏れによる再作業など、これまでの測定作業のボトルネック解消につなげた。
また、簡単なレクチャーで誰でも使えるため、自社の従業員が現場訪問して測量と撮影を完了し、トータルでの工数を最小化した。仮に160平方メートルの物件を測量する場合、手作業だと6時間掛かったが、2時間程度で完了した。
BIMモデルの作成以外でも、現場を自由に歩き回ることができるデジタルツインのウォークスルー機能は施工管理にも役立てた他、若手社員の理解促進やスキルアップにもつながった。
野原グループの中村氏は、Matterportを「BIM導入の入り口」と位置付ける。Matterportは、特別なスキルを必要とせず現場の負担を最小限に抑えられる。また、建物ライフサイクル全体で情報を活用できる道筋を立てられるからだ。
野原グループでは、Matterport Pro3カメラとアクセサリーをセットにした「Pro3 パフォーマンスキット」の提供に加え、毎週の無料実機体験会や導入後のサポート体制を整えている。現場の負担を限りなく抑制しながら、BIMを活用するための新たな選択肢となる建設DXツールになるといえるだろう。
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