BIMの限界を突破 “IM”へ進化を促す新しい活動「BIM Innovation HUB」始動!(その2)日本列島BIM改革論〜建設業界の「危機構造」脱却へのシナリオ(14)(2/3 ページ)

» 2026年05月19日 10時00分 公開

参照情報2 各国のBIMガイド

 世界各国では、BIMや情報マネジメントの普及/促進を目的に、さまざまなBIMガイドラインや指針が整備されている。2018年にISO 19650-1、-2が公開されて以降、各国のBIMガイドの多くは、ISO 19650の考え方や内容をさまざまな形で踏襲している。

 各国で整備されている代表的なBIMガイドのうち、現時点では、英国と米国の代表的な事例を取り上げている。英国はISO 19650自体が英国でのBIMガイドの体系を基盤として成立していることから、その理解を補完するものとして「IMI Framework Guidance」がある。ISO 19650をより深く理解するための代表的な解説資料であり、各国のBIMガイドでも参照されている。

 米国には、2024年に改訂された米国の国家BIMスタンダードの「National BIM Standard V4:US」が存在する。ISO 19650の影響を受け、V4ではV3から大幅な改訂が行われた。このように、各国のガイドラインはISO 19650との整合を図る方向で進んでいる。

参照情報におけるNational BIM Standard V4:USの説明 参照情報におけるNational BIM Standard V4:USの説明

 今後、オーストラリアやマレーシア、ペルーなど、2019年以降に発行された各国のBIMガイドについても、順次取り上げていく。

参照情報3 建設業界フレームワーク

 建設プロジェクトでは、多くの組織や関係者が関与するため、情報の作成、共有、分類方法や情報の詳細度などについて共通の仕組みが整備されていなければ、円滑な協働や効率的な意思決定ができない。ここでいう「建設業界フレームワーク」とは、建設プロジェクトに関与する組織や関係者が共通の方法で業務を進めるために整備した各国の政策、標準、分類体系などの仕組みの総体を指す。いずれも、情報マネジメントを成立させるための前提条件となるものだ。

 現時点では、その一例として、BIM Forumの「LOD Specification 2025」に触れている。日本でも、基本設計はLOD200、実施設計はLOD300といったように、BIMモデルの詳細度(LOD)を指定する運用がみられるが、それはBIM ForumのLOD Specificationに基づく考え方に由来する。ほぼ毎年更新しており、現時点の最新版がLOD Specification 2025となる。

 LODは当初、Level of Detailだったが、現在はLevel of Developmentと定義されている。単にBIMモデルの“形状の詳細さ”だけでなく、BIMモデルに含まれる“情報の詳細度”についても定義する必要があったためだ。

参照情報におけるBIM Forum LOD Specification 2025の説明 参照情報におけるBIM Forum LOD Specification 2025の説明

 一方で、ISO 19650の体系では、LODという概念に加え、「ISO 7817-1」で示されている「LOIN(必要情報詳細度)」も採用し、要求事項に応じて必要な情報(形状、情報、文書)を定義している。

 日本ではLODという言葉のみが先行し、その背景や本来の意図が十分に理解されないまま独自の解釈で用いられている場合が多い。使い方を間違えずに本質を知るためにも、LODが成立した背景や本来の利用方法について、各種資料を通じて正しく理解することが欠かせない。

 このような業界のフレームワークに関する情報や各国の政策や方針なども、参照情報の「建設業界フレームワーク」として整理していく。

参照情報4 調査・レポート

 世界のさまざまな国や地域では、BIMや情報マネジメントに関する調査やレポートが公開されている。こうした調査やレポートを参照することで、それぞれの国や地域でのBIMや情報マネジメントの現状、今後の方向性を把握できる。調査・レポートでは、参考となる海外の主な調査やレポートを掲載している。

 現時点では、2つの調査・レポートを取り上げ、1つは「NBS Digital Construction Report 2025」だ。2年に1度、英国のBIMや情報マネジメントなど建設業界の最新状況を調査したレポートで、英国の情報マネジメントの実装状況やデジタル化の進展を把握するうえで重要な資料となる。2025年度版では、建設業界でのクラウドやAIの活用などの動きが報告されている。

 もう1つは「African BIM Report 2024」。日本では、アフリカのBIMの取り組みについてほとんど知られていないが、アフリカの多くの国が参加している「BIM Africa」という団体があり、そこで発行されているレポートだ。

参照情報におけるAfrican BIM Report 2024の説明 参照情報におけるAfrican BIM Report 2024の説明

 アフリカのBIMの取り組みは比較的遅れて開始したが、レポートからは今では着実に進展している様子がうかがえる。後発のため、先行する国々の取り組みや教訓を踏まえた導入が進んでいる部分もあるかもしれない。ISO 19650などの情報マネジメントの必要性や取り組みについても論じており、示唆に富む内容となっている。

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