続いて丸岡氏は、ネクスウィルが実施した相続や住み替えに関する2つの実態調査の結果を引用した。
2026年3月4日に実施した全国20〜49歳の男女600人調査では、新生活に伴って実家を離れた、または離れる予定の人のうち、空き家予備軍を含めると約6割が、将来実家が空き家になる可能性があると認識していると分かった。丸岡氏は「新生活シーズンは、空き家問題が静かに始まるタイミングにもあたる」と付け加えた。
一方、2026年4月7〜8日に実施した全国50歳以上の男女600人調査では、実家の将来への不安として「費用がかかりそう」「何から考えればよいか分からない」が多く、利活用のハードルとして「家が古い」「片付けや残置物の処理が大変」「どこに相談すればよいか分からない」などが挙がった。丸岡氏は「何から手を付ければよいか分からない状態が、空き家放置の一因になっている」とした。
また、住み替え意向に関する調査では、7.1%が既に実施済み、18.9%が検討中または条件が合えば検討したいと回答した。持ち家の扱いについては、不用品の処理や引っ越し作業、老朽化や修繕費用の負担も大きな課題で、丸岡氏は「住み替えたくても、今の家をどうするかが壁になっている」と分析した。
丸岡氏は、アンケート調査の結果を踏まえ、「“実家じまい”は社会的なキーワードになりつつある。しかし、実際に進めようとすると、多くの人がさまざまな困難に直面している」と問題点を提示した。
困難の1つは、手続きの煩雑さだ。何から始めればよいのか、どこに相談すればよいのか分からないといった点が、最初のハードルになっている。
次に、権利関係の整理だ。地方の実家や空き家では、登記上の名義が祖父や曽祖父の代のままになっているケースも少なくない。こうした不動産を売却しようとすると、過去にさかのぼって相続登記を進める必要が生じ、その過程で相続人の範囲が複雑化し、誰が権利者なのか把握しにくくなる。
仮に権利関係を整理できたとしても、必ずしも売却できるとは限らない。加えて、こうした手続きや買い手探しを、現地に住んでいない相続人が遠方から進めなければならないケースも多い。
こうした課題が重なり、“実家じまい”には多くの時間と手間がかかっている。その結果、対応が先送りにされ、放置空き家の増加につながってしまっている。
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