ACCユーザー会のターゲット製品は、日本で展開している設計コラボレーション/設計管理ソフトウェア「Autodesk BIM Collaborate」、施工管理ソフトウェア「Autodesk Build」、2Dと3Dの数量拾いを実行できるソフトウェア「Autodesk Takeoff」、クラウドベースの共通データ環境「Autodesk Docs」が含まれる。
ACCユーザー会では、業種や職種、企業規模を問わず、個社や業界全体が抱える課題の解決、DX推進を目的としたコミュニティー活動を予定している。具体的には、ワークショップやベストプラクティスの共有などを行う。将来はユーザーの要望に応じて、建設プロセスにおける業種や職種、ワークフローごとの分科会開催も視野に入れている。
会員の登録状況は、2024年7月11日時点で230人。ゼネコンを筆頭に、設計事務所やプラントエンジニアリングなど建設工事に関わる事業者の他、発注者も約20人ほど参加している。
ACC会長を務める清水建設の三戸氏は、ユーザー会設立の背景として、2017年にBIM活用が進む英国を訪問した際のエピソードを語った。「英国では2016年までに、BIMの成熟度を示す指標でレベル2を実現するという目標を立て、国策として取り組んでいた。BIMレベル2とは、BIMデータを関係者が共通データ環境上で作成し 同一性を担保した形で共有できている段階を指す。成果として2割程度のコスト削減効果があったという」。
三戸氏は続けて「BIMレベル2実現による変化をさらに掘り下げると、データがバトンタッチ方式からシェアリングに移行し、情報伝達の仕方が大きく変わったことが分かった。一方で、レベル2では、BIM活用の実態は3Dデータとしての利用にとどまり、BIMのInfomationにあたる属性情報はさほど活用されていないことも明らかになった」と語る。
三戸氏は、BIMレベル3の実現に向けたACCの活用について「BIMを、個々のプロジェクトをデータベース化するツールだと捉え、他のデータベースと連携させることで、建築の生産プロセスに関わる情報全てをデジタル化できる。これにより、建設に関わるあらゆる情報の取り扱い方が従来のアナログな方法から、BIMを中心としたデジタルデータの情報マネジメントへと変わっていくだろう。ACCは、BIMの本質となる建設生産プロセス全体での情報マネジメントを実現するプラットフォーム。設計・施工だけではなく発注者や維持管理も含め、多様なステークホルダーが有効活用できるように、環境の整備などを進めていく」と展望を述べた。
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