「施工ロボットに期待が集まる。BIM活用は費用や発注者の理解などが障壁に」建設デジタル技術の実態調査調査レポート(1/2 ページ)

BuildApp Newsが建設業界で課題解決を期待するデジタル技術の調査結果によると、建設RXコンソーシアムを中心にゼネコン各社の連携が進む「施工ロボット」に最も期待が集まった。一方で「BIM/CIM」は、大手ゼネコンとそれ以外で導入実態に差がみられ、導入費用や発注者から求められていないなどがネガティブ要因として挙がった。

» 2024年03月04日 18時00分 公開
[BUILT]

 野原グループが運営するオウンドメディア「BuildApp News(ビルドアップニュース)」は、2024年1月に実施した建設業界従事者1000人への独自調査のまとめを公表した。

 今回の調査では、建設の「2024年問題」が社会の注目を集めている中で、「建設業界の課題と解決に期待するデジタル技術」を探っている。結果からは、「人材不足」のさらなる深刻化、国が進める「BIMの活用」にはBIM導入費用や必要性、人材育成の面で障壁があることが判明した。

期待するデジタル技術は「施工ロボット」が1位

 調査結果によると、建設業界の最も深刻な課題の設問では、前回調査から、順位に変動はなかったものの、1位「人材不足(63.0%)」、2位「高齢化による技術継承(45.3%)」の割合が微増した。建設業界では年々、人材不足と技術承継の課題が改善されないまま、課題が深刻化していると推察される。

出典:野原グループプレスリリース

 建設現場での施工関連業務の従事者(施工管理、施工、専門工事)に着目すると、3位に「労働時間が長い/年間休日が少ない(31.0%)」が挙がっている。建設業界では、日本建設業連合会が「4週8閉所」の実現に向けた活動を長年実施しているが、現場では工期順守が求められる一方、生産性向上が進まず、労働環境の改善につながっていないのではないかと考えられる。

BIM活用の実態は6割超が「活用しない、できない」

 建設業界従事者が思う最大の課題(人材不足、高齢化による技術承継、円安などによる建材/人件費の高騰)に対する解決方法として期待するものと、現実に導入が進んでいるかの現状の上位3つをそれぞれ尋ねたところ、結果は下表の通りだった。「BIM/CIM」は建設業界の生産性向上に寄与するものとして国が活用を進めているが、「業界課題を解決すると期待するもの」「導入が進んでいると思うもの」のいずれにもランクインしていない。

出典:野原グループプレスリリース

 BIM活用の実態では、「BIMを活用していない、できない」が62.4%、「活用している」が37.6%となった。

出典:野原グループプレスリリース

 中小企業(n=711)と大手企業(n=289)では、BIM活用状況に大きな乖離がある。ゼネコンをみても、スーパーゼネコンと地方ゼネコンとではBIM活用状況に開きがみられ、建設工程の下流(工事関連/サブコン、工務店、専門工事店)にいくほどBIMを活用できていない。

出典:野原グループプレスリリース
出典:野原グループプレスリリース

 業務別では、建設現場での施工関連業務の従事者(施工管理、施工、専門工事、n=613)のBIM活用が進んでいないことが分かる。

出典:野原グループプレスリリース
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