2024年度は「デジタル技術による人手不足支援と建物の脱炭素」に注力 ジョンソンコントロールズBAS(1/2 ページ)

ジョンソンコントロールズは2024年度、デジタル技術を活用した人手不足への支援、建物の脱炭素化支援などを加速する。業務の効率化や自動化の先にある「自律的に進化するビル」の実現に向けた取り組みを、代表取締役社長 吉田浩氏が語った。

» 2024年02月14日 15時00分 公開
[黒岩裕子BUILT]

 ジョンソンコントロールズは2024年度の事業戦略の柱に、デジタル技術を活用した人手不足への支援や建物の脱炭素化支援などを位置付けた。BAS(ビルディングオートメーションシステム)プラットフォーム「OpenBlue(オープンブルー)」の活用を加速し、業務の省力化と質の向上を両立させる。AIを含むデジタル技術を駆使した、自動化の先にある「オートノマスビル(自律的に進化するビル)」の実現に向けた取り組みについて、代表取締役社長 吉田浩氏が語った。

インタビューに答える代表取締役社長 吉田浩氏 インタビューに答える代表取締役社長 吉田浩氏 提供:ジョンソンコントロールズ

OpenBlueとビルデータに関する知見を生かし「オートノマスビル」実現を目指す

OpenBlueの概念図 OpenBlueの概念図 出典:ジョンソンコントロールズ資料

 2020年の国勢調査によると、建設技術者は2000年と比較して約56%まで減少し、そのうち65才以上の比率が16.8%と高齢化も進行している。また、政府が発表する有効求人倍率のデータを見ても建設業は流通業と並んで高い水準にあり、時間外労働の上限規制が始まるいわゆる「2024年問題」への対策も急務だ。

 吉田氏は「建設業界内外の人手不足は大きな経営課題だ」として、自動化や省人化による生産性向上の取り組みが、今後さらに活発化すると見込んでいる。こうした背景を踏まえ、ジョンソンコントロールズは、機器メンテナンスや保守運用の最適化サービスを拡大する考えを示している。

 ジョンソンコントロールズのOpenBlueテクノロジーは、リモート保守点検、予知保全、リスク評価などの、カスタマイズ可能な20以上のサービスを統合したデジタルソリューションパッケージだ。

 2023年からは、顧客のシステムを常時診断することによってメンテナンス作業の省力化とサービスの品質向上を同時に実現する「Open Blue Remote Diagnostics and Reporting(OB-RDR)」の国内での提供を開始した。不具合の検知(FDD)による故障前対応、リモート点検診断により現場リソース不足の緩和にも役立てられる他、点検スコープ拡大により、自動制御設備の運用の品質も向上できる。

 吉田氏は「年1回しか点検できないような場所に設置された機器でも、OB-RDRを使用することで機器の状況を常時把握できるようになる。今後はソフトやアプリケーションの能力も向上させ、多彩なデータを収集し、分析していきたい。サービスはまだ初期段階で、今後大きく進化していく可能性がある」と語った。

 2024年度には新築/既存のビル向けにOB-RDRの営業を強化し、導入拡大を図る。これらの取り組みにより、OpenBlueテクノロジーとビルデータに関する知見に基づく「オートノマスビル」の実現を目指す。

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