大和ハウス工業で建設DXを主導する技術統括本部 建設DX推進部 次長 宮内尊彰氏は、現在までの住宅系(戸建て/賃貸住宅)と建築系(商業施設/事業施設)それぞれのデジタル変革の具体策を紹介した。
このうち、住宅系では建設現場の遠隔管理として、360度自動録画の「D-Camera(統合カメラ管理システム)」、施工の業務支援アプリ「物件ポータルサイト(物件情報一元化)」、各種業務システムの「ダッシュボード(物件情報可視化)」の3つの機能を統合したスマートコントロール環境を構築。社内の営業担当者、設計者、施工担当者、バックオフィス、さらに協力会社と、現場のあらゆる情報を共有して、業務効率化につなげている。第7次中期経営計画の最終年度となる2026年度末には、施工現場担当者業務の生産性で、住宅50%(2023年度末35.8%)、集合35%(26.2%)を目標に定める。
現時点でも、D-Cameraは住宅3811棟、集合1811棟、建築/流通980棟で活用されており、遠隔確認回数では1.4万回(2023年4〜10月度)にも上る。物件ポータルサイトも、ユーザーからの477件の要望を受け、27メニューを追加。今後は、施工店作業員の資格や入退場のデータを管理する「グリーンサイト」とも、MCデータプラスとの機能開発で連携も検討している。
さらにサプライチェーン変革の観点では、物流会社とも、適正な生産方式の“ジャストインタイム”を目的に、D-Cameraの現場映像確認や物件ポータルサイトのチャット機能を用い、納品や後工程の調整を中部/近畿エリアで先行試行している。
建設業界でも2023年のトレンドワードとなっている「AI」に関しては、施工店での自主検査に活用。これまでは、施工店の撮った写真を大和ハウス工業の工事担当者に送って現地確認し、不適正な写真があれば再度撮り直し、その後の物件データと紐(ひも)づけも人の手で登録していた。AIを活用すれば、エラーがあればその場で撮り直しできるため、無駄も解消され、データ登録もRPAが自動で行う。撮影ガイド機能とAIを搭載した端末を2023年12月から全国展開し、現段階では検査対象の全200弱項目のうち3項目だけだが、2024年4月には50項目に拡大する。
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