商業施設や事業施設など建築系のDXでは、核となるBIM化は、2023年3月末時点で意匠100%、構造99%、設備26%、見積もり93%、工場94%、工事/施工50%まで進んでいる。いまは、「BIM導入期」から「BIMデータ活用期」に移行し、設計BIM100%でCDEに蓄積された企画設計4000件/年、実施設計900件/年のBIMデータをいかに利活用するかを検討するフェーズに来ている。
その一例としては初期提案で、過去データからプロジェクトの建設費を算出する試みやxRによる設計案のレビューシステム、建材メーカー横断のカタログデータベース「truss(トラス)」、VR施工検討システムなどの活用が既に始まっている。
その中でtrussは、2023年7月にリリースした建材の選定/管理を行うWebサービスとなる。メーカーを限定しない総合Webカタログで、建材の比較や検索が枝番指定まで可能で、建材を選べばBIMモデルにも反映される。クラウド上で仕上表や材料表、マテリアルボードなどの資料間がデータ連動し、常に最新情報にアップデートされるため、不整合の防止や工事関係者間での手間削減がもたらされる。「建設現場には膨大な量のカタログが存在するが、trussでペーパーレス化が可能になり、誰が建材を決定したかの証跡にもなる」(宮内氏)。
施主向けにも建材選定時に、仮想空間で確認してもらうべく、メタバースの遠隔会議システム「WHITEROOM(ホワイトルーム)」を提供する「南国アールスタジオ」との協業で、「D's BIM ROOM」を2023年3月にプロトタイプを開発完了している。
D's BIM ROOMは、Revitで作成したBIMモデルを大和ハウス工業がCDEと位置付ける「BIM 360(現:Autodesk Construction Cloud)」に格納し、集積されたデータをWHITEROOMで出力してメタバース空間で閲覧する仕組み。trussとBIM 360、WHITEROOMの連携は、IDとパスワードを一度入力するだけの“シングルサインオン”で実現しているため、ヘッドマウントディスプレイ無しでも、iPadやPCからでも接続可能だ。VR/AR空間では、原寸大の拡大表示や仕上材を切り替えて、3Dモデルを目の前にしながらスムーズな合意形成が図れる。
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