鹿島建設とパナソニック エレクトリックワークス社は、シンガポールにオープンした鹿島建設の新社屋「The GEAR」に光/音/映像/空気などを用いた快適なオフィス空間の実証施設を開設した。
鹿島建設とパナソニック エレクトリックワークス社は、鹿島建設が2023年8月4日にシンガポールにオープンした新社屋「The GEAR」に、空間や設備機器が働く人に与える効果を実証する「Co.worXlab(コワークスラボ)」を開設すると同日発表した。
The GEARは、1億シンガポールドル(約77億円)を投じ、シンガポールのチャンギ空港から車で5分のチャンギ・ビジネスパークで、Kajima Overseas Asiaの施工で2020年8月に着工し、2023年3月31日に竣工した。構造規模はRC造地下1階/地上6階建て、延べ床面は1万3061.17平方メートル。
鹿島建設は、これまでシンガポール内に点在していたグループ会社をThe GEARに集約し、鹿島建設のアジア本社、施工の自動化技術や居住性や省エネに関わる技術、環境負荷を低減する建設材料など5種類の研究室「ラボ」を有するR&Dセンター、スタートアップ企業や大学などとのオープンイノベーションハブの3つの機能を併せ持つ。建設/開発の事業部門と技術開発部門とのシナジー効果をより高め、新たなビジネス創出を目指す。
The GEAR内には、鹿島技術研究所のシンガポールオフィス「KaTRIS(Kajima Technical Research Institute Singapore)」を設け、シンガポール国内の政府機関や大学、民間企業などとのオープンイノベーションを推進していく。
パナソニック エレクトリックワークスは、空間ソリューション事業推進の一環として、Well-beingなオフィス環境づくりを目指し、光/音/映像/空気などを用いた空間のパッケージ提案を推進している。
こうした背景から両社は、多様な国籍の人が集まるシンガポールのThe GEAR3階フロアに、社内外のステークホルダーも交え、空間や設備機器が働く人に与える効果を多角的に検証する共創スペースとして、Co.worXlabを新設した。
Co.worXlabに導入するのは、6つの空間。このうち、会議室では、イメージングセンサー(映像)やマイクセンサー(音声)でデータを計測し、会議の進行に合わせた制御(照明/空調/気流/香り)で話し合いを活性化させる。
個人ブースでは、照明や空調、音で、使用者のさまざまな好みのモード(集中とリラックスなど)を提供。打ち合わせやコミュニケーションの場となるコミュニケーションスペースでは、照明や気流、音などを制御し、生産性向上を図るオープンスペースとする。リフレッシュ空間は、壁面に投影する映像と連動した気流や香りのコントロールで、オフィスワーカー好みの運動を楽しく行える環境を整える。ミーティングブースは、一定の空気循環による空間制御で包み込まれるような心地よい空間を創り出す。さらに、屋外スペースでは、極微細ミスト噴射で、屋外空間に集う人たちに快適な清涼感を与える。
鹿島とパナソニック エレクトリックワークスは、各設備機器から取得可能なデータを各社が利活用することで、今後の研究開発に活用していくとしている。
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