東亜建設工業と野原ホールディングスは、研究施設の内装工事を対象に、BIM活用による乾式壁のプレカット施工で、施工時間の短縮と二酸化炭素や現場廃棄物量の削減を検証した。
野原グループの野原ホールディングス(現・野原グループ)は、東亜建設工業と、研究施設の増築工事で、BIMを活用した乾式壁のプレカット施工を導入し、その効果を検証したと2023年6月に公表した。
内装工事は、建設プロジェクトの全体工期の終盤に行う専門工事。壁や天井下地、石こうボード、仕上げ、設備工事など工種は多岐にわたり、従事者も工種ごとに入れ替わるため、作業者数が多く必要とするのが課題となっている。
RevitによるBIM活用では、野原ホールディングスのBIM設計〜生産〜施工支援プラットフォーム「BuildApp(ビルドアップ)」のうち、施工BIMから建材パーツレベルまで詳細度を上げる「内装BIM詳細化」と、パーツレベルのBIMから建材メーカーの加工につなげる「内装BIM-プレカット加工連動」を採用した。
2022年3月〜12月の期間に東亜建設工業株 技術研究開発センター 第二実験棟 2階の特定エリアでの実証実験の結果、内装工事(乾式壁)へのBIM活用が技能工不足への有効な解決策となりえることを確認した。具体的には、軽量鉄骨下地材の施工時間で10〜20%減少し、石こうボードの施工時間は平方メートルあたり1.5〜4分の短縮となった。環境負荷の軽減では、プレカットBIMモデルで建材数量を正確に把握し、適切な数量の建材発注につながるため、実証場所全体をBIMプレカット施工した場合に換算すると、現場廃棄物量で約36〜56%減、二酸化炭素排出量で36〜60%減の予測値が得られた。
今後の課題としては、施工BIMの体制やフロー、施工箇所ごとの最適なプレカットと作業効率のバランスなどが浮き彫りになった。
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