連載3回目は、2020年12月にアットホームが実装し、AIを活用して業務効率化と不動産業務のDX推進を支援する「アピールコメント自動生成」を採り上げます。インターネットで住まい探しをする際、物件紹介ページに物件の魅力や特徴が書かれている「おすすめコメント」をご覧になったことはありますか?今回は、そのコメントをAIで自動作成する機能の開発背景やこだわりなどを説明します。
2020年12月に、AIを活用して物件のアピールコメントを自動で生成できる機能を、全国のアットホーム加盟店が利用する不動産情報流通プラットフォーム「ATBB(アットビービー)(不動産業務総合支援サイト)」に搭載しました。
コメント自動作成の機能は、不動産会社がATBBに物件情報を登録する際、「かんたんコメント生成」ボタンをクリックするだけで、入力した物件情報をAIが解析して、6つの特徴ごとに全部で36パターンのコメントを自動生成。作成したコメントは、消費者向けポータルサイト「不動産情報サイト アットホーム」に掲載される仕組みです。
本機能が実装されるまでは、不動産会社の担当者が1件1件、物件のアピールコメントを手入力しており、アピールコメントの作成や登録に掛かる業務負担が大きかったことが課題となっていました。そこで、不動産会社の入力負荷軽減という課題解決のため、AIを活用したおすすめコメント機能の実装を決定しました。
★アットホーム連載バックナンバー:
本連載では、アットホームの不動産市場や不動産テックなどの各専門分野に長けた執筆陣が、法令改正に伴う消費者動向や不動産分野でのAI先端活用例について、各回テーマを設定し、現状と今後の予測について独自分析していきます。
新機能は、AIが周辺の物件と比較して優れている条件や設備を判定して、コメントを作成することが可能です。不動産会社目線ではなく、消費者目線に立った画一的ではない物件の魅力が伝わるコメントにこだわりました。おすすめコメントを見るのは消費者なので、消費者に刺さるフレーズを出せることが本機能の魅力と考えています。間取りや設備、眺望といったあらゆる物件の付帯情報など、居住生活を想像しやすいコメントは消費者にとっては重要だからです。
コメント自動化の開発は、アットホームラボ、アットホームに加え、マーケティングシステムを開発しているGFLも加わった3社で着手しました。事前の不動産会社を対象にしたおすすめコメントに関するアンケート調査では、表現のトーン&マナー、生成のバリエーション、運用と精度に関する要望が寄せられました。ニーズに対しては、GFLの協力により、不動産会社の担当者が記載する表現とは異なり、物件固有の特徴を盛り込みながら、消費者の心に刺さるキャッチコピーやフレーズを作成することができたと思っております。
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