mixpaceの建設業でのユーザー事例紹介では、まずサブコンの三建設備工業での取り組みを挙げた。三建設備工業は、細胞培養加工施設の設計・施工段階の確認作業にmixpaceとHoloLensを用いた。AR/MRでさまざまな角度から完成イメージを確認し、施主との早期の合意形成を実現した。
2件目に採り上げた大林組は、mixpaceをベースに、オリジナルのMR施工管理アプリ「holonica」を開発。現実空間に原寸大のBIMモデルを重ね、プロパティ情報も表示しながら仕上げ検査を実施して、従来の紙図面検査との比較で30%もの効率化を達成した。
また、国土交通省 関東地方整備局は、i-Construction人材育成センターの施工現場で、mixpaceとHoloLensを用いてAR/MRによる遠隔臨場を検証した。実証では、実現場に合成したBIMモデルを投影するだけでなく、遠方のオフィスにいるスタッフと1対3で結び、画面を共有しながら3Dモデルを動かして検証した。
日本国土開発が施工を担当した山口県の橋梁(きょうりょう)建設現場では、橋梁下部工を対象に、mixpaceとiPadで背筋検査や完成イメージの合意形成をはじめ、作業時のガイダンス、関係者間の打ち合わせなど、現実と仮想のデジタルツインで幅広い業務を行った。
mixpaceの機能紹介では、AR/MRの運用で欠かせない「位置合わせ」について触れた。HoloLens 2やiPadでmixpaceを使う際は、内蔵カメラや慣性計測装置から得た情報で現実空間の位置や向きを判定し、3Dモデルを適切な位置に映し出す。だが、その精度には限界があるため、mixpaceは「位置指定ARマーカー機能」を採用している。同機能では、移動先のポイントごとに位置合わせ用ARマーカーを事前に設定し、ズレが生じたら近くのARマーカーを再認識すれば容易に補正できる仕組み。mixpaceでは、A4サイズのARマーカーを提供しており、そのまま紙に印刷してすぐに使える。
mixpaceのARマーカーには、事前設定なしに初期値や配置できる基本ARマーカーと、最新の位置指定ARマーカーの2種類がある。後者は、最大10種のARマーカーを任意の位置に配置し、移動時の3Dモデルの表示ズレも素早く補正する。従来は変換したデータが大き過ぎると、デバイスで表示し難かった問題点も、クラウド上で高負荷の描画処理をするオプションの「mixpace Remote Rendering(mRR)」により解決。これまでは膨大な処理時間や高スペックPCが必要だった大容量のBIMモデルでも、HoloLens 2で表示できるようになった。
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