大阪市は、2017年に「新大阪駅東口まちづくり部会」を発足した後、「新大阪」駅東口での再開発の方向性や市営住宅建て替えに伴う余剰地活用の検討を進めている。
「新大阪」駅の東口を中心とするまちづくり計画が山場を迎えている。産官学で構成する2つの部会が2022年1月下旬に、再開発ビジョンをとりまとめ、パブリックコメントの手続きを開始した。古くから交通の要衝として栄え、現在もリニア中央新幹線に対応した都市再生計画などが検討れている地域は一体どのように変貌しようとしているのか。
淀川区と東淀川区の境に位置する新大阪駅は、JR西日本、JR東海、大阪メトロの各線が乗り入れている国内有数の巨大ターミナル。東西に長い駅は、JR京都線・おおさか東線のホームを挟んだ東口改札を抜けると大阪市東淀川区の西端にまで及んでいる。
東淀川区と淀川区は、大阪の北東側に位置する政令区で、歴史的にも交通の要衝として知られ、今では市内の主要なベッドタウンを形成し、多数の鉄道新線が乗り入れている。
例えば現在は、阪急京都線・千里線の連続立体交差事業や淡路駅周辺地区の土地区画整理事業、2019年3月に開通したおおさか東線、阪急線の高架切り替え後に整備予定の歌島豊里線といった都市計画道路の整備に取り組んでいる。
また、大阪市の十三から淡路までを含む広域のまちづくりにも着手し、北陸新幹線・リニア中央新幹線の計画に合わせたターミナル整備と、都市再生特別措置法に基づく都市再生緊急整備地域の指定も推めている。これまで着実に歩みを続けてきた新大阪東口周辺のまちづくりは、いま新たな局面を迎えている。
東口エリアを取り巻く環境が大きく変わろうとしている中で、街区の新たな在り方の構想を進めてきたのが、「東淀川区西部地域バリアフリーまちづくり協議会」と「新大阪駅東口まちづくり部会」の2部会。
2022年2月13日まで大阪市行政オンラインシステムで、パブリックコメントにかけられた「新大阪東口まちづくりビジョン検討案」は、両部会による議論の成果ともいえるもので、「第2期東淀川区保健福祉計画」や「新大阪駅周辺地域都市再生緊急整備地域検討協議会」など、関連する会合での話し合いも踏まえている。
ビジョン検討案では、「玄関口にふさわしいまちづくり」と「人にやさしいまちづくり」を掲げ、既存の生活者を重視しつつ魅力あるまちづくりに取り組む基本的な考え方をまとめている。
新大阪駅東口まちづくりビジョン検討案では、先導的に開発する地区も指定している。具体的には、新大阪駅東口からおおよそ500メートルの範囲とし、北と東はおおむね府道134号熊野大阪線で区切り、南は東中島1丁目や4丁目を東西に貫通する道の内側が対象となっている。
今回、指定したエリアは、長期間を見据えて、未利用地や余剰地に企業の拠点施設を誘導することで、周辺の既存施設や住居の自発的な建て替えや更新にも波及することを見込む。そのため、従来のまちの姿との共存を図りながら、「地域と一体的に進める持続可能なまちづくり」(ビジョン検討案)を標ぼうしている。
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