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» 2020年12月21日 06時04分 公開

コロナの影響でマンション市場に大幅な変化、長谷工総研の独自分析から読み解くマンションビジネス総合展(2/3 ページ)

[川本鉄馬,BUILT]

4000万円以下の物件が減少、6000万円以上の高額物件は安定供給

 首都圏の新築マンション相場では、東京23区内で価格の上昇が顕著に表れている。また、23区外・郊外についても、価格が徐々に上昇してきている。

 価格帯別の供給状況では、4000万円未満のいわゆる一次取得者が楽に買える物件が減少。2020年1〜6月の半年間で、4000万円未満の物件は1205戸が供給された。これは、全体の供給戸数に対する割合で、16.1%に相当する。同価格帯の物件は、以前のピーク時には5〜6万戸が供給されていた。現在では、替わりに6000万円を超える高価格帯が安定供給されるようになり、価格の二極化が際立っている。酒造氏は、首都圏におけるマンションの市場規模が縮小している理由を、4000万円未満の物件が激減しているためと説明する。

4000万円未満の物件減少が顕著に

 マンション価格の上昇に関しては、最寄り駅から近い物件が多く供給されていることが一因としてある。バブルのピークである1990年代は、最寄り駅からバスを使うか、徒歩16分以上の物件が多数を占めた。しかし、現在は供給の5割近くが、駅から徒歩5分以内で利便性の高い物件が占める。

 駅チカ物件は、価格的にバブル期を上回っている。都心部で利便性に優れた立地の物件が数多く出ていることが、価格上昇の大きな背景となっている。

 このような傾向は、近畿圏でも同様だ。ただ、近畿圏では販売状況で初月の販売率が70%を超えるエリアが現れており、ここ数年は首都圏よりも近畿圏の販売率が好調な状況が続いている。

コロナ禍でマンション市場はどう変わったのか?

長谷工総合研究所 取締役 市場調査室長 酒造豊氏

 コロナ禍の移動自粛では、投資家が現地物件を見に行けず、投資物件の購入ができないなどの弊害が生じた。結果、模様眺めの状況に陥っているという。酒造氏は、この状況が今後どうなるのか、基準地価や公示地価などの発表と合わせて注視していく必要があるとした。

 マンション市場は、当然ながら景気の動向に大きく左右される。とくに、コロナの影響による雇用と所得環境の悪化、ボーナスの減額などは無視できない。アベノミクス以降は、若年層の所得が上昇し続けていた。しかし、コロナによって多くの人のボーナスが減額することが予想される。これがマンションの購入マインドにどのような影響を残すか。酒造氏は、「今後の懸念材料になるのではないかと考えている」と口にする。

 コロナ禍によって、家で過ごす重要性が高まり、購入意欲が強まったとの声もある。共働きの夫婦が共に在宅勤務となり、住まいについて話し合う機会が増えたことも関係しているという見方もある。

 家に対する要望にも変化があるようだ。これまでは、利便性を求めて都心部の2LDKを希望していたような人でも、実際に在宅勤務を経験すると、家庭内で快適なビデオ会議用の部屋を用意できる4LDKを望むようになる。

 また、長時間の在宅で豊かな生活が送れる省エネ性能やキッチン回りの設備などもじっくり考えるようになるだろう。これらは、市場全体での変化というよりも、購入する側の意識が変わり始めたことを意味する。

「STAY HOME」を機に住宅に対する意識に変化が

 このようなニーズの変化に対し、大規模マンションの共用施設としてワーキングスペースを用意することも検討材料として想定される。また、ウイルス対策として非接触・抗菌・風通しなどのニーズへの対応、玄関を入ってすぐに手が洗える室内デザインなどへも知恵を絞る必要がある。

 ただ、いつコロナが収束するのか、これからどうなるのかは、まだ読めていない。酒造氏は、コロナが収束した段階でも必要なものを作っていくことが重要とした。「コロナが収束してニーズが変わった時に、本当にいる設備だったのかが問われてくる」(酒造氏)。

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