昨今は、SNSの浸透とともに、社会に発生するさまざまな事象の情報が、スマホに代表されるモバイルツールから日々投稿されている。JX通信社は、Twitter上を流れるツイートから、災害・事故・事件などに関する情報を得るシステム「FASTALEAT」を開発した。既に放送局や通信社などのメディアで多数採用されており、その有用性は高く評価されている。
JX通信社は、第24回「震災対策技術展」横浜(会期:2020年2月6〜7日、パシフィコ横浜)で、SNSに投稿された書き込みから災害などの情報を収集するソリューションをアピールした。
インターネットとデジタル機器の普及によって、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)は、今や膨大なユーザーを抱えるコミュニケーションツールに育った。そこでやりとりされるのは、雑多な情報だが、時には防災や危機管理に役立つ重要な情報が投稿されることもある。
JX通信社の開発した「FASTALEAT(ファストアラート)」は、玉石混交の投稿が飛び交うSNSから、災害・事故・事件などのリスク情報をピックアップし、Webページやメールで知らせてくれるサービス。
FASTALEATは、SNS上の投稿を24時間チェックし、AIがデマやフェイクなどの情報を排除した上で、災害や事件、事故などに関する情報を会員だけがアクセスできるWebページ上に表示する。Webページへの表示は、SNSに情報が投稿されてから1分以内とスピーディ。
JX通信社執行役員の高橋宜潤氏は、「レスポンスの良さと情報の網羅性がFASTALEATの特徴」と話す。同社は、画像や言語の解析技術を保持しており、文章の解析を行った上で、内容を要約するアプリを制作した実績もある。その経験と技術が、FASTALEATにも生かされているという。
一刻を争うような緊急対応が必要なビジネスを展開している企業の場合、テレビやラジオなどの速報では、対応が後手になってしまう懸念がある。このような企業にとって、素早い情報を得るのにFASTALEATは有効策となる。既に、FASTALEATはNHKの他、全ての民放キー局に採用されている。前出の高橋氏は、「メディアの他にも、一般企業でもBCPや災害対策を検討している会社で導入が進んでいる」と説明した。
FASTALEATには、事故や事件の投稿や写真などの画像を解析し、Googleマップをベースとした地図上に表示する機能も備えている。投稿された情報からランドマーク名や緯度経度の情報が得られるか、複数の情報解析で位置が特定できるケースのみとなるが、地図上で災害の発生場所が可視化されることで、防災や業務の危機管理に生かせることは多い。
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