次に、1995年に操業したPanasonic Manufacturing Ayuthaya ディレクター 岡本貞良氏が登壇し、Panasonic Manufacturing Ayuthayaの概要について触れた。Panasonic Manufacturing Ayuthayaは、化学材料事業部や電子基材事業部、電材事業部で構成されており、配線器具やブレーカ、チャイム、配管材、コンセントなどを生産している。照明用スイッチの製造では、パナソニック ライフソリューションズ社が推奨するモジュール思想を採用している。モジュール思想では、照明用スイッチのハンドルやプレート、取り付け枠といった意匠と操作に関わる部分は各商品でデザインを変え、電気を点灯するスイッチモジュールの仕様は各商品で共用し、効率を図っている。
製造コンセプトは、津工場と同じく五設一体思想を掲げ、材料の選定から組み立てまで一貫して取り組める環境が整備されており、生産工程を一貫して工場で進められるため、高い品質の維持とコストカットを果たしている。
工場内では、スイッチやコンセントの安全性を評価するため、「感電」「火災」「寿命」の3分野で、試験も行っている。特に、火災の分野で取り組む「温度上昇試験」「グローワイヤ試験」、寿命のカテゴリー「ON/OFF操作 寿命試験」に力を入れている。温度上昇試験は、定格以上の電流をコンセントに流し、火災につながるような危険な発熱がないことを確認し、グローワイヤ試験は熱した熱線でコンセントを刺し、防火性能を確かめる。
岡本氏は、「パナソニック ライフソリューションズ社のスイッチやコンセントは、導電部分に、導電性の高い銀や銅などを使用しているため、寿命を迎えても急激に温度上昇しない。寿命を想定した解析手法を活用した設計により、異常な温度上昇につながる部品の変形も起こらない商品仕様で、ねじ式端子に比べ、施工ミスで温度上昇しにくい速結端子も採用している。また、筐体の素材には、燃えないユリア樹脂を取り入れているので、発火しない」と説明した。
ON/OFF操作の寿命試験は、通常の使用下で、スイッチとコンセントのONとOFFを繰り返す。「国際電気標準会議の規格に従い、スイッチは4万回、コンセントは5000回のON/OFFを行い、正常に動作するかをチェックしている」(岡本氏)。
最後に、ASEAN地域におけるPanasonic Manufacturing Ayuthayaの役割について、岡本氏は、「ASEANに存在する製造拠点への技術や技能継承、金型と加工部品の輸出で貢献することだ。既に、Panasonic Manufacturing Ayuthayaで勤務するタイ人が、ベトナム工場立ち上げ時に、現地スタッフにノウハウを継承した実績がある」と語った。
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