インプレス総合研究所による「ドローンビジネス調査報告書2020」が2020年3月26日に発売された。同書は、2019年度のドローンビジネス市場規模について前年度比51%増の1409億円だったとし、2020年度もさらなる成長が見込まれ、前年度比37%増の1932億円に拡大すると予想している。
インプレスのシンクタンク部門であるインプレス総合研究所は、最新の国内ドローンビジネス市場規模を掲載した新産業調査レポート「ドローンビジネス調査報告書2020」を2020年3月26日に発売した。ドローンに関する市場動向、ビジネス動向、行政、技術、法律や規制、課題、展望などを多角的に分析した同書は、14分野41業務用途のロードマップや課題、今後の展望を掲載しており、ドローンビジネスの戦略立案に欠かせない情報を網羅している。
同書によると、2019年度の国内ドローンビジネスの市場規模は前年度比51%増の1409億円だったが、2020年度には前年度比37%増の1932億円に拡大し、さらに2025年度には6427億円(2019年度の約4.6倍)に達することが見込まれる。2019年度の国内ドローン市場で最も規模の大きい市場は前年比68%増の609億円に達するサービス市場で、475億円の機体市場(前年度比37%増)、326億円の周辺サービス市場(前年度比46%増)と続く。
同書が示す分野別の分析を見ると、2019年度のサービス市場では、企業のドローン導入における業務フローの再構築や運用ノウハウの蓄積、マニュアル作成、人材の育成などに想定以上の時間を要したため、ビジネス現場への実装まで至らないケースが散見された。その結果想定していた成長速度よりもやや遅れが見られたが、2020年度はこれらの課題が徐々に解決されることで、ドローンの実装が増えていくという。
サービス市場で特に成長が見込まれるのが点検分野だ。2020年度後半には、総務省の制度変更により携帯電話の上空利用が急速に進むことが予測されることから、ドローンで取得した各種データをリアルタイムに利用者側に伝送できるメリットを生かし、点検などの分野での利用が進むことが見込まれる。物流や広域警備などの長距離飛行が求められる分野でも、携帯電話ネットワークを利用したドローンによるサービスの伸びが期待される。
また、非GPS環境下でも安定飛行が可能な小型ドローンの開発が進んだことで、人による点検が困難であった天井や屋根裏空間、細い配管ダクトの中の点検が容易になり、ドローンが専門的に行う新たな点検分野市場として開拓される可能性があるという。
機体市場については、2019年度に国内外のメーカーから農薬散布やセンシング、点検、運搬など用途にあわせた産業用機体が発売されており、農薬散布機を中心に普及しはじめていること、2020年度は非GPS環境下で活用される小型機や運搬用途の大型機の活用がさらに進み、産業用機体の種類の増加や防災関係機関のさらなるドローン導入が進むことなどを指摘する。
周辺サービス市場については、ドローンの産業利用が進むにつれて、バッテリーなどの消耗品や定期的なメンテナンス、業務環境に即した保険のバリエーションが増加しており、2020年度も引き続き成長が続くと予測する。今後導入が予想される免許制の動きに伴い、ドローンの操縦を指導するスクールの動きもさらに活発になること、各ユーザー企業における運用管理やソフトウェア開発に関わる人材へのニーズも高まっており、人材サービス市場の拡大が予想されることも示唆している。
ドローンビジネス調査報告書2020の章立ては4つで、産業構造やプレーヤー整理、事業者ごとのビジネスモデルの分析、市場全体の最新動向、法律や規制などをまとめた「ドローンビジネス市場分析」、14分野41業務用途ごとにドローンを活用したビジネスの現状とロードマップ、課題、今後の可能性などを分析する「産業分野別のドローンビジネスの現状と課題」、国土交通省、経済産業省、総務省、農林水産省、内閣府の動向をまとめた「各省庁の動向」、今後のドローンビジネス市場のカギを握る企業をハードウェア、サービス・ソリューション提供、業界団体などに分類し、42社・団体の動向をまとめた「企業動向」からなる。
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