鹿島が、アジテータ車から荷卸しされるコンクリートの全量を連続モニタリングし、動画像から施工性の良否をリアルタイムで判定する受入れ管理システムを開発した。
鹿島は2019年12月25日、動画像分析を活用したコンクリートの全量受入れ管理システムを開発したと発表した。
本システムによる受入れ管理の流れは次のとおり。まずアジテータ車から荷卸しするコンクリートを撮影する市販ビデオカメラと、警告発信用パトランプを設置。ビデオカメラが撮影したコンクリートの荷卸し動画を、分析システムを搭載したPCにリアルタイムで送信すると、AIが測定範囲を自動認識し、システムがコンクリートの性状を分析。施工性の悪いコンクリートを検知すると、パトランプでアラートを発信する。
コンクリート構造物の品質を確保するためには、施工性の悪いコンクリートを排除することが重要だが、従来は作業効率の問題から、アジテータ車5〜35台に1回程度のペースで抜き取り検査を行っていた。そのため、施工性の悪いコンクリートが検査をすり抜けて荷卸しされてしまうリスクが避けられない。
施工性の悪いコンクリートが型枠内に打ち込まれてしまうと、もはや構造物の初期欠陥を防ぐことは難しくなる。そのためこれまでは検査の頻度を増やしたり、専門の監視員を配置したりするなど、コンクリートの品質管理に余計なコストがかかっていた。
今後は本システムを現場に適用しつつ、システムの高速化などを図るとともに、RI水分計などの既存技術と組み合わせることで、強度・耐久性の劣るコンクリートを排除し、受入れコンクリートの「全量の性状・品質の連続かつリアルタイム管理」および「管理・検査の省人・省力化」の実現を目指す。
鹿島では、コンクリート工事の全工程をデータ化・見える化するプラットフォーム「コンクリート・アイ」を構築し、打込み、締固め、打継面の処理、養生など各工程におけるコンクリートの状態や施工管理を情報化する技術を推進している。本システムで得たコンクリートの性状判定データもコンクリート・アイに蓄積していくことで、施工中のリアルタイムな判断、現場内でのPDCA活動、情報化施工、コンクリート構造物の品質と生産性の向上に活用していく。
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