パスコの最新ICT測量や請負契約の電子化など、生産性向上につながるセミナーi-Construction(2/3 ページ)

» 2019年12月10日 05時07分 公開
[石原忍BUILT]

国内シェア80%の電子契約システム「クラウドサイン」

 画像診断法によるひび割れ抽出は、高解像度の画像(GSD1ミリ)が必要なため、橋脚に近接した写真撮影は必須となる。しかし橋脚は30メートルもの高さがあり、逆に橋梁(きょうりょう)床板下部では、非GPS環境下となる。こうした厳しい条件を踏まえ、プリズムを装着したTS追尾式システムによるドローンの自動航行撮影を採り入れ、高解像度画像を連続撮影した。

「番の州南高架橋」で行ったTS追尾式システムによるドローンによる脚変状調査

 また、設計と施工で地層が異なる山岳トンネル工事を対象に、MMSで点群データを取得し、CIMモデルを作成する新しい手法にも触れた。精度はレーザースキャナーと同等で、最終の出来形はヒートマップで納品する。そのため、支保工やロックボルトの位置、漏水箇所が3次元で可視化され、施工だけでなく、その先の維持・管理段階でも活用することができるようになる。

 水深も計測できるグリーンレーザーを使った測量手法では、通常のレーザーでは水に反射してしまうが、河川の中までレーザーが直進するため、河川調査などへの利用が検討されている。実証では、ドローンにレーザーを搭載し、吉野川で堤防と河川の両方の点群を一度に取得したという。

グリーンレーザーによる吉野川での点群取得

「さらば、ハンコ」の弁護士が作った電子契約システム

 弁護士ドットコムのセッションでは、クラウドサイン事業部 リーガルデザインチーム 橋詰卓司氏が、製本・印刷はもちろん、収入印紙も押印もいらなくなるクラウド型電子契約「CLOUDSIGN(クラウドサイン)」の仕組みと法律をひも解いた。

 CLOUDSIGNは弁護士事務所とともに開発してきたシステムで、今では5万社以上が利用し、そのシェアは8割を占めている。

 なぜ今、電子契約なのかについて橋詰氏は、「グローバルでは、不安定な郵便サービスと解消しえない物理的距離の問題から、米国発でグローバル企業ではスタンダードになりつつある。国内でも海外との商取引で、2015〜2016年を境に電子契約が増えている。だが、国内企業では電子契約に関する社内ルールがまだ存在しないため、法務部門で問題が生じてしまうことが少なくない」と背景を説明。

 こうした事態を受け、国・行政では2019年5月に、デジタルファースト法を成立させ、行政手続きを原則、電子申請に統一する動きが始まった。さらに2020年4月に施行する改正民法では、「法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない」と明文化され、電子契約が認められ、実際に厚生労働省が定めた手続きの電子申請が一部義務化される。

「CLOUDSIGN(クラウドサイン)」の仕組み

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