ドローン活用のプラント点検サービス、GPSは不要INCHEM TOKYO 2019

自律制御システム研究所(ACSL)はアクセンチュアとともに、プラントの腐食や漏油箇所の検出を容易にするサービスを開発した。このサービスは、非GPS環境下で飛行可能なドローン「Mini」と、AIによりプラントの損傷部を自動抽出するシステムで構成。これまで点検で要していた足場などが必要なくなり、コストを大幅に減らせるため、業界から関心を集めている。

» 2019年11月29日 15時00分 公開
[遠藤和宏BUILT]

 インフラ点検や防災、物流など産業用途向けドローンの開発・製造・販売までを国内で一貫して展開する自律制御システム研究所(ACSL)は、「INCHEM TOKYO 2019」(会期:2019年11月20〜22日、幕張メッセ)に出展し、同社製ドローン「Mini」を用いたプラント点検サービスを披露した。

腐食や漏油箇所は専用のAIが検出

 サービスは、Miniとアクセンチュアが開発したシステムで構成されており、2018年から実証試験を進めている。ワークフローは、PCにフライトプランを入力し、Miniに指定したルートを自律飛行させ撮影。クラウドへ取得した画像をアップロードし、プラントの腐食や漏油箇所を専用のAIが自動検出した後、Webで結果を確かめられるという流れ。

システムはピクセル単位で腐食進行度合いを評価、表示可能 

 システムは、撮影した画像・動画に対し、ピクセル単位で腐食進行度合いを評価、表示に応じている上、携帯端末とPCの両方で、ブラウザから結果確認や図面へのひも付けなどができる。

Mini 

 Miniの最新型は2019年6月に発売されており、従来機同様に、下向きに搭載した画像を独自のアルゴリズムで処理することで、ドローンが位置および向いている方角を認識する技術「Visual SLAM」を有しているのが最大の特徴。

Visual SLAM 

 また、前部に設けたステレオカメラにより、前方にある対象物との距離を把握し、対象物と一定の距離を保つ機能も実装している。これらのテクノロジーを組み合わせることで、非GPS環境下でも安全な自律飛行を可能にしている。ジンバルに取り付けられたカメラは2000万画素、光学30倍ズームに対応しており、高精細な画像を撮れる。

 機体サイズは、全長(プロペラ範囲)620ミリ、高さ230ミリ、重量(バッテリー1本含む)3.5キロ。飛行速度は水平移動と上昇下降ともに毎秒2メートル、高度150メートルまで飛べる。

 ACSLの担当者は、「これまでプラント内の点検は、数千万円をかけて足場を作り、専門の技術者が行ってたと聞く。Miniは400万円で販売しており、置き換えれば、従来と比べて大きく費用を削減する。専用のシステムにより、腐食や漏油箇所を抽出可能なため、ノウハウがなくても作業に取り組める他、人件費を縮減することにも役立つ」と語った。

 サービスの価格や発売時期は未定だという。

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