鹿島建設は、建築工事で竣工直前に多くの手間と時間をかけて実施する照明の照度測定や調整作業を自動で行うロボットを開発した。愛知県と大阪府で施工中の現場に適用して、有用性を確認したという。将来的には、改良を施し、騒音・温湿度の測定にも対象を広げ、設備機器に関する性能検証の省力化・効率化を目指す。
鹿島建設は、建築物の竣工直前に多くの手間と時間がかかる照明設備の照度測定や調整作業を無人化するロボットを開発した。
建物の竣工直前に行う各設備機器の試運転や調整のうち、天井の照明設備は、机上面や床面の照度が設計値通りになるように、全ての照明設備を検査・調整する必要があり、長時間の作業を要する。太陽光の影響を避けるために、夜間に行う必要もあり、現場管理者の負担となっている。
新開発のロボットは、照度測定を自動で行い、測定データを照明設備の明るさセンサーに送信し、照度調整までをワンストップで行う。愛知県と大阪府内で施工中の現場に試験的に導入したところ、熟練作業員と同等の測定結果が得られ、作業人数は、従来と比較して約80%削減することができたという。
ロボットの基本仕様は、走行速度が毎秒1メートル。本体サイズは、450(高さ)×500(幅)×600(長さ)ミリで、重さは22キロ。
走行ルートは、あらかじめ測定するエリアの図面データから、照明と照度センサーの位置を読み込み、自動で走行経路を決定する。走行時は、搭載したレーザーレンジファインダーが壁からの距離を計測して自己位置を認識し、設定ルートを移動。自己位置を常時確認・補正して進むため、正確に測定ポイントで止まることができる。照度測定の動作は1箇所あたり、2秒ほどで完了する。
仮にルート上に障害物があっても、レーザーレンジファインダーが障害物を認識し、自ら回避して走行ルートに戻る。
測定にあたっては、照度計を載せたアームが上下し、床面から一般的な机上面の高さ(800ミリ)までの範囲内で任意の高さの照度を測る。測定データは、照明制御システムに送信され、目標照度に調整。床レベルの照度も測定できるため、非常照明に対しても有効だ。
今後は、ロボットをさまざまな現場に適用しながら改良を進め、将来的には照度測定以外のルーティン作業も無人化し、生産性の向上につなげていくとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.