他の展示では、コンクリートを加飾する「べトンフィット」のサンプル陳列もあった。べトンフィットは、従来の型押し手法と異なり、金型が不要なため工期短縮につながり、コンクリに表情を加えることで建物に新たな価値を提供することが期待される。
加工工程は、コンクリ型枠の底に特殊インクで模様を印刷したべトンフィットを敷く。その上にコンクリを流し込み、養生後に取り出して、表面を水洗いする。特殊インキの絵柄部分は、コンクリ硬化が遅延するため、水で洗い流すと硬化していない部分が流され、凹凸が浮き出る仕組み。
シートの構成はクラフト紙をポリエチレン樹脂層で挟み、表面に特殊インキという層から成る。絵柄サイズは幅1100×高さ1700mm(ミリ)。設計価格は200m2(平方メートル)受注時で、2万円/m2。
また、建設現場での作業員の動きを可視化する「ID-Watchy(アイディーウォッチー)」、2019年2月20日から三越伊勢丹の伊勢丹新宿店で実証実験が行われたフルカラー電子ペーパーを使用したデジタルPOPも紹介した。
ID-Watchyは、従業員にビーコンを携帯させ、センサーでその位置を把握。位置情報とカメラ映像を組み合わせ、誰が、いつ、どこに、どの状態にあるのかを見える化する。センシングは、ネットワークカメラ、照明、ビーコンセンサーの1台3役をこなす一体機を屋外も含めた現場のエリアごとに設置する。
危険エリアへの立ち入りが管理しづらい建設現場で、センサーを特定エリアに置くことで、作業員が侵入したらメールで通知。物理的なゲートを設けずとも出入り管理が可能になる。万一事故が起きた際は、現場の状況が映像で確認でき、マスクなどをしていて顔が見えなくても、位置情報で人物を特定する。人員配置でも、エリアごとの人数や作業時間を割り出し、一目で分かるグラフで表示されるため、最適な人員配置の計画が立てられるようになる。
また、ビーコンは、ホシデンのバイタルモニター「MEDiTAG」も使うことができ、生体センサーシステム「ID-Watchy Bio」としても提供している。この生体センサーをプラスすることで、歩数、ストレス、転倒検知などを取得して、作業員の健康状態チェックや見守りに役立てられる。
プロトタイプの電子ペーパーパネルは、台湾のE Inkの「Advanced Color ePaper」がベースで、シアン、マゼンダ、イエロー、ホワイトの4色帯電顔料で、従来品に比べ、1.5倍以上の反射率と数倍の色再現域により、3万2000色をフルカラー表示する。凸版印刷では、この電子ペーパー用いたデジタルPOPを開発した。
これまでのアナログPOPでは、制作時に出力物の裁断、パネル貼り、什器への取り付け、イベント終了や展開替えの度に廃棄物が発生していた。電子ペーパーであれば設置の手間も削減され、表示内容を変えるだけなので紙の廃棄も無くなる。
また、電子ペーパーパネルは、表示に電力を必要としないため、電源コンセントや電源コードは不要。コードに足を取られるなどの転倒リスクが無くなり、簡単にレイアウト変更にも応えられる。
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