エレベーターの“呼び出し”と“行き先階の指定”を自動化、スマホとビーコンの連動で新機能ビル設備自動化(2/2 ページ)

» 2019年02月20日 06時00分 公開
[石原忍BUILT]
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“車イス”専用乗り場ボタンや現在階の非表示機能

 専用アプリには、あらかじめカゴに乗る階と、行き先階を設定しておくハンズフリー以外に、“車イス”専用乗り場ボタン機能も搭載。車イス専用の乗車ボタンをを押すと、扉の開閉速度が通常よりもゆっくりで、扉の開いている時間が長くなる。この機能は、画面上をスワイプするだけのため、車イスでドアに近づいてボタンを押す手間が無くなり、バリアフリーにつながる。

 また、インジゲーター機能も備わっており、エレベーターフロアに掲出されているデジタル式の現在階表示を非表示(横棒表示)にする。エレベーターが1階に戻ったタイミングなどで、階数表示が復帰し、第三者に自分の住んでいる階や行き先階を知られたくないときに役立つ。

 システム構成は、導入コストを抑えた発信機(ビーコン)、三菱電機ビルテクノサービスが管理するアプリケーションサーバ、スマホアプリの3点。発信機はエレベーター1基ごとに必要で、人の昇降が頻繁にある1階エントランスやホールに設置することを想定。1つのビルに何台のエレベーターがあっても、それぞれに発信機を備えることで多数台の運用にも応じる。ビルが何棟あっても、それぞれの棟で設定を分けることが可能だ。

アプリでのエレベーター呼び出しと行き先指定
自動で到着したエレベーター

 初期設定ではまず、発信機があるエレベーターに近づくと、アプリが反応して、このエレベータは自動化機能を利用できると音声アナウンスで知らせる。アプリは、サーバとインターネット回線でつながり、サーバ上に蓄積されている建物の物件情報や固有IDなどと、セキュリティ下でひもづけて、スマホ端末を認証する。

 一度認証が済めば、後はハンズフリー機能によって発信機に接近するだけで、アプリで設定した乗る階と降りる階の情報をサーバからエレベーターに遠隔監視回線で送信して、エレベーターが動く。発信機による検知からエレベーターが動くまでの一連の流れは、わずか数秒で行われるという。

システム構成図

 なお、ハンズフリー機能は、アプリがバックグラウンドで動いているときに動作し、アプリを起動すればハンズフリー状態が解除される。発信機を設置していない階では、手動のアプリ操作で乗り降り階をその場で指定することが可能だ。

 三菱電機ビルテクノサービスでは、「自社のアプリケーションサーバを介している点が、今までの自動化の手法とは異なる。システム自体のセキュリティ性が高く、設置コストも低減されており、後付けもできる」と、今後の既存ビルリニューアルなどでの導入を見込んでいる。

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