ヒューマンタッチ総研は独自に分析した「2019年3月期第2四半期決算から見る建設市場の動向」を公表した。ゼネコンは大林組が売上高・営業利益ともに過去最高益。鹿島建設、大成建設は通期の利益予想を上方修正し、全体的に収益性の改善が進んでいることが判明した。
人材紹介事業を行うヒューマンタッチが運営するヒューマンタッチ総研は総合工事業(ゼネコン)、土木工事業、電気設備工事業、管工事業の4業種に分けて、2019年3月期第2四半期決算から見る市場動向を公表した。対象は3月期決算で2018年3月期売上高の上位各10社(ゼネコンは非上場の竹中工務店を除く)。
全体の概況では、ゼネコンと電気設備工事業の収益性改善が進む一方で、土木工事業と管工事業は減益に転じた。
2019年3月期の第2四半期決算(連結)の各業種主要10社の実績を合計すると、第1四半期は増収増益で好調だった土木工事業が減収減益へと落ち込み、管工事業も増収減益となった。一方、総合工事業(ゼネコン)と電気設備工事業は、第1四半期と同じく増収減益だったが、経常利益の前年同四半期比は改善されている結果となった。
ゼネコンの第1四半期決算では、減収減益が5社と収益性の面ではやや厳しい結果になったが、第2四半期については減収減益が2社に減り、業界全体として収益性の改善が見られた。
業界首位の大林組は、第1四半期は減収減益だったが、第2四半期では増収増益に転じ、2019年3月期の売上高は予想通り1兆9700億円。5年連続で過去最高を更新する見通しで、営業利益は1390億円と4年連続で過去最高を記録すると見ている。
また、鹿島建設と大成建設は、高水準であった前期に比べて減益となっているものの、資材コストや人件費の上昇が想定を下回ったことから、通期の利益予想を上方修正。
安藤ハザマは、一部の大型工事で進捗率が想定を下回っていること、2018年7月に発生した建設現場での大規模火災の影響などから、通期業績予想を売上高、利益ともに大幅に下方修正している。
土木工事業は、第1四半期の決算では10社のうち6社が増収増益、減収減益は1社のみと好調だったが、第2四半期は増収増益が3社、減収減益が4社となり、収益面で厳しい決算となった。
増収増益から減収減益に転じた業界首位のNIPPOは、原材料価格上昇などの影響で、舗装土木事業や製品販売事業の利益率が低下したことを理由に、通期利益予想を下方修正。また、世紀東急工業は増収増益だったが、売上高、利益ともに通期予想を下方修正している。
川田テクノロジーズは好調な第2四半期決算を受け、通期利益予想を上方修正した。
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