VR/ARが描くモノづくりのミライ 特集
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» 2018年10月19日 09時30分 公開

建設テック2018:建設業の重篤災害をいかに回避できるか、西武建設と岩崎が開発した省スペース型VR安全教育 (1/2)

西武建設と岩崎は、VR(ヴァーチャルリアリティー)技術を活用した建設現場の安全教育システム「リアルハット」を開発し、2018年から本格的な販売展開を行っている。このVRコンテンツは、体験者が自ら危険性を気付くことに主眼が置かれている。現在は建設業の重篤災害をテーマにした3つのVR体験があるが、2018年度内にはさらに9つコンテンツを拡充するという。

[石原忍,BUILT]

 西武建設と、北海道のIT企業の岩崎は、建設業向けにVRによる体験型の安全教育システム「リアルハット」を開発。2018年10月17〜19日まで東京ビッグサイトで開催された「建設テック2018」でVR体験が行われた。

数回体験することで、事故体験と対策立案を学習

足場編で不安全箇所をチェックする体験者。狭い展示スペースでもVR体験が可能

 両社が開発したVR安全教育は、建設現場の重篤事故をテーマに、足場からの墜落・転落、バックホウと壁とのはさまれ事故、クレーンからの部材落下の3つのコンテンツをラインアップしている。開発に際しては、西武建設の過去事例を参考にしつつ、日本大学 理工学部 土木工学科 構造・デザイン研究室の関文夫教授と、労働安全衛生法の助言で安全総合調査研究会の菊一功代表の監修のもと、ストーリーラインを決めた。

 VRのシナリオは、繰り返し行うスパイラル方式を採用。1度目は、はさまれ事故や部材の落下事故を体験することになり、2度目からは事故を防ぐ手段を模索してVR体験を行う。そのため、なぜ災害が起きたか、どうのような対策を講じるべきだったか、被災者の立場で考えることになり、危険予知能力・安全意識の向上につながる。

 バックホウ事故のVR空間では、被験者は土木造成現場の作業員となり、安全行動を取らないと、重機と擁壁の間に挟まれてしまう。防止策として、ルート上の先にいる作業員に右手を挙げることで、バックホウのオペレータに通行人がいることが伝わり、事故が防げる。視点を変えれば、オペレータ目線で、自分の位置が死角になっていることも確認できる。

バックホウ編のVR空間

 クレーン災害では、築造工事現場の大工となって、空間内中央に置いてある工具を取りに行くと、上空からクレーンの玉掛けから部材が落下してくる。回避するためには、クレーンの可動範囲を確認し、安全地帯に移動することで事故が防げる。1度目は事故体験、2度目は回避行動と数回体験することで、理解が深まるシステムとなっている。

クレーン編のVR空間

 足場編では、他のコンテンツと異なり、被災はなく、足場上を歩行して、足場の隙間や手すりの取り付け方不備など、不安全箇所をコントローラーで指摘していく。作業員が現場を退出した後に、不安全箇所をチェックする現場監督のイメージで行う。現在では仮設足場の組み立て業者をはじめ、足場のリース会社でも安全教育として活用されているという。

足場編のVR空間
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