騒音や振動などの建設公害を発生させずに杭・矢板を地中へ押し込む「圧入工法」のパイオニア、技研製作所が北米市場の開拓を加速する。ニューヨークの老舗建設コンサルタント会社と9月20日付で提携し、トランプ政権が表明した巨額のインフラ整備に備える構えだ。GIKENグループでは長期ビジョンで、全体の売上に占める海外の売上比率を7割まで引き上げることを目指す。
建設関連機械の技研製作所は2018年10月10日、米国・オーランドに本社を構えるグループ会社のGiken Americaが、ニューヨークの建設コンサルタント会社であるMeuser Rutledge Consulting Engineers (MRCE社)と、同年9月20日付で「圧入工法」の普及拡大に向けた協同契約を締結したと発表した。
技研製作所によると、トランプ政権におけるインフラ投資計画のもと、米国の主要都市では道路・地下鉄・地下ライフラインの老朽化対策、高潮対策などが順次具体化される見通しにある。このことから、経済活動を阻害せず、省スペースで急速に工事を遂行できるGIKENグループの「圧入工法」は、高い市場性が見込めるという。
今回の協働契約により、Giken Americaは同年11月に開設予定のニューヨークオフィスに、MRCE社のエンジニア派遣を受け入れる。これにより、同社と圧入工法に適したプロジェクトの調査・設計提案を協同展開。上流営業を強化していくことで、ニューヨークひいては北米市場での認知向上と圧入工法の普及を加速する狙いだ。
1970年代に世界に先んじて技研製作所が開発した「圧入工法」は、振動や騒音といった建設公害を発生させることなく、杭・矢板を高精度に地中に押し込む建設工法で、狭あい地や空頭制限のある場所・傾斜地・水上など、さまざまな施工条件下で合理的な杭施工を可能にした。
一方、MRCE 社はニューヨークのマンハッタンに本社を置き、100年以上にわたり、複雑で難易度の高い建設プロジェクトを遂行するための先駆的な新技術を開発してきた建設コンサルタント・地盤工学エンジニアリング会社。地盤工学・開削・基礎・地盤改良・ウォータフロント構造物・ダム・トンネルなどの専門エンジニアと経験豊かなコンサルタントが多数在籍し、ニューヨーク都市圏とワシントンD.C.の広範な地下情報に関するデータベースも保有している。
今回の契約のきっかけは、2018年3月に技研製作所の北村精男社長が日本人で初めて受賞した「ベン・C・ガーウィック賞」。同賞の主催者であるDF(I DeepFoundation Institute)の海洋基礎委員長を務めるRoderic A. Ellman (エルマン)氏がMRCE社の共同経営者でもあったことから、同社の設計エンジニアリング業務に「圧入工法」の優位性が新たな解決策となる可能性を見いだしたという。
GIKENグループでは、長期ビジョンで海外売上比率を全体の7割とする目標を掲げ、今後もアメリカ、ヨーロッパ、東南アジア、中国などの各国で、設計・施工・整備・販売といった分野の核となる企業との業務提携を進める。そして、中期経営計画で掲げる「インプラント工法のパッケージ化によるグローバル展開」を強力に推し進めていくとしている。
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