西松建設と八潮建材工業が2017年に共同開発した軽量鉄骨間仕切壁「マシッブウォール工法」は、発売から約1年で全国13物件に採用されるなど適用拡大が進む。2018年7月24〜26日に東京ビッグサイトで開催された「事前防災・減災対策推進展2018」では、ブース壁面に同工法で使用するマシッブスタッドを埋込・切断した断面を来場者に見せながら、その剛性と耐力を実現する仕組みについて解説した。
西松建設と八潮建材工業が共同開発した軽量鉄骨間仕切壁「マシッブウォール工法」の適用が全国で進められている。2017年4月の本格的な販売開始から現在までに、大型物流倉庫をはじめとする13物件で採用されるなど、両社では適用推進を加速していく構えだ。
マシッブウォール工法は、従来の軽量鉄鉄骨間仕切壁(LGS壁)では中間梁なしで適用高さが5m(メートル)までだったが、新開発の下地材「マシッブスタッド」を使用することで、最大7.7mの高さまで中間梁を使わずに倉庫業法に規定される耐荷重性能に対応できる。第三者機関の建材試験センターで耐荷重試験を実施し、倉庫業法に定める「軸組み、外壁又は荷ずりは2500N/m2(ニュートンパー平方メートル)以上の荷重に耐えられる強度を有すること」を確認している。
下地材のマシッブスタッドは、四隅に15mm(ミリ)ほどの折り返しを設けることで、剛性と耐力を向上。従来と同じ外形100×45mmを維持しながらも、約1.6倍となる断面性能を有する。これにより、5m以上の間仕切壁でも中間梁工事を不要とし、約20%の工期短縮とコストダウンが図れる。
また、板厚は0.9mmに抑えることで、特別な工具は不要で従来のようにワンタッチビス留めが可能。従来のLGS壁で用いていた振れ止めも不要とし、施工の煩雑化を低減している。
展示会のブース担当者によると、2018年現在では現場条件によって最大高さ9mまで中間梁なしで対応できる見通しも立っているほか、マシッブスタッドの剛性と耐力の高さから消火時の放水圧力に耐えられるなど、高さの低い壁であっても強度が必要なシーンで適用が進められているという。
物流施設をはじめとする階高が高い建築物には高さ7mほどの間仕切壁が必要になる中、中間梁を不要とすることで設計や施工の手間を大きく低減するマシッブウォール工法。両社では、階高のある大型物流倉庫やショッピングセンターへの普及のほか、その強度の高さを生かし、研究施設や劇場など活用シーンの拡大も図っていくという。
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