日本建設業連合会(日建連)は2018年7月4日、BIM(Building Information Modeling)の優良事例をまとめた「施工BIMのスタイル 事例集2018」を発刊した。前回の事例集2016から掲載企業数を拡大し、施工BIMの適用場面が一つの作業所内で多岐にわたり始めたことを考慮し、取り組み内容ごとに成功要因、創意工夫点、次回改善点、生産性向上への貢献度などを共通のフォーマットで図版を中心に紹介している。
日建連内の建築生産委員会 IT推進部会 BIM専門部会は、BIM活用の事例をまとめた2018年版の事例集を公開した。事例は元請18件、専門工事会社20件。専門工事の内訳は、鉄骨FAB4社、設備サブコン4社、昇降機設備メーカー2社、鉄骨階段メーカー2社、サッシメーカー4社、金属製建具メーカー1社、金属製品製造2社、とび・土工1社。
日建連では事例集発刊にあたり、施工BIMの最新動向を把握するため、2017年10〜11月の期間で日建連会員企業にアンケート調査を実施した。調査対象は元請が64社(建築分野)、専門工事会社は28社(鉄骨FAB6社、設備サブコン5社、昇降機設備メーカー4社、鉄骨階段メーカー2社、サッシメーカー4社、金属製建具メーカー2社、金属製品製造4社、とび・土工工事会社1社)。
調査結果によると、元請64社中、回答のあった54社のうち43社が、施工BIMに取組んでいることが判明した。事例については前回の元請と専門工事会社合わせた79事例から、99事例とより多くの事例が集まったという。
事例の工事概要では、構造形式はS造工事が63%と半数以上を占めており、鉄骨工事を中心に施工BIMが展開されていることが分かった。RCは15%、SRCは1%、混合構造は16%だった。
延床面積、地上階数の比較では、延べ床面積10万m2(平方メートル)以上、12階建て以上の大型工事よりも、それ未満の中小規模での工事でBIMの導入は多い傾向となった。延べ床面積でみると、1万m2未満は49%、1万〜10万m2は28%、10万m2以上は10%。階数では1〜3階は29%、4〜11階は51%、12〜30階は11%、31階以上は5%。
自社設計、他社設計の別では、ゼネコン設計が62%、設計事務所が33%と、ゼネコンの設計が多数の結果だったが、前回との比較では特に変動はなく、設計施工、設計施工分離に関わらず施工BIMが活用されている。
元請と専門工事会社との連携では、両者が取組んだ事例は約95%。前回調査よりも大幅増となり、互いに連携してBIMを運用する方法が広がっていることがうかがえる。
BIMモデル合意の具体的実施内容では、鉄骨FAB、空調・衛生・電気の設備サブコンとの連携が中心。今回の結果では、天井下地・内装仕上げといった内外装に関連する工事の参加もみられ、今後の工種の広がりに期待が持てる結果となった。専門工事会社のBIM活用では、鉄骨FAB、設備サブコン、昇降機設備、鉄骨階段、サッシメーカー、屋根の各工種で、製作図作成時にBIMモデル合意を実践している。
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