最終の第3部では、トライポッドワークス代表取締役社長・佐々木賢一氏が、建設現場向けのドローン活用事例の講習会を行った。佐々木氏は米国で開催されたドローン見本市を紹介し、ロッキードやダグラス・エアクラフトなどの航空大手がドローンに参入している最近の傾向を語った。特に日本で多いマルチコプター型ではなく、大型、固定翼の機体が目立ってきている最新のトレンドを説明。
佐々木氏は、「ドローンは1990年代の湾岸戦争で登場してから、黎明期を経て、今は普及期に差しかかった。この5年ほど、国内でも中国製の価格の安い機体を中心に小型のコンシュマー向けが増えていたが、センサーやソフトウェアの発展に伴い、今後はもう一度軍事用とに向かうとみられる。いつでもどんな天候でも飛行できる機体が現れるのではないか。開発が先行するのは軍事分野だが、その後、新しい技術は土木や点検、測量、施工管理にまで波及してくるだろう」とドローン市場の将来を予測した。
佐々木氏が社長を務めるトライポッドワークスは、情報セキュリティの企業として創業。ドローンビジネスに参入してからは、建設現場をはじめ、ゼネコンのリクルート向け、1億円以上する特殊重機のプロモーション動画など、多岐にわたる動画制作で、ドーロンを活用している。
「動画のいい点は、見れば一目で理解できること。デメリットはデータが大きすぎ、映像の中に不要な部分が存在する点。タイムプラス(早送り)機能や映像解析などを使って、生の映像データでは説明しづらい部分を編集で分かりやすいように提供している。建築や土木で、点群データから3Dモデルを作成するのは、これまではセスナを使った測量だけに限られた技術だった。だが、ドローンを使えば10分程度で基本データが取得でき、施工現場の視える化がより手軽にできる」とドローン撮影のメリットを強調した。
実際に最近行ったドローン業務では、NEXCO西日本の依頼を受けて実施した夜間の高速道路撮影を説明。夜間時に災害が起きた際、高速道路の状況がどうなっているか、ドローンによる撮影で把握できるかテストしたもので、実験ではキヤノンの超高感度カメラを搭載。全く光源のない法面(のりめん)などの場所でも、災害時の状況把握には十分対応できる映像を撮影することができたとした。
最後に今後に向けた新たな取組みでは、大規模な建築現場で、毎日同じルートで動画を撮ることで、建造物が出来上がっていくプロセスを記録に残せると提案。工程管理や品質向上、さらには施主への工事説明にも役立てるとして締めくくった。
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