ヒューマンタッチ総研は、2018年度の建設市場動向について分析を発表した。業績は2018年度も堅調に推移し、IT・ロボット活用や働き方改革の推進など、建設業の労働生産性向上に向けた取り組みが進む年度になるとみている。
ヒューマンタッチ総研は、2018年度における建設市場の業績や業界トレンドなどを分析したレポートを公表。同年度の公共事業は堅調な伸びが見込まれるが、人材確保が重要な経営課題になり、官民連携して建設業の労働生産性向上に向けた取り組みが加速する年になるとしている。
現在、通常国会で審議中の2018年度政府予算案(一般会計)では、公共事業関係費が2017年度と比較して26億円(0.04%)上回る5兆9789億円となる。2015〜2018年の推移では、微増だが増加傾向となっている。
主な予算項目では、「地域における総合的な防災・減災対策、老朽化対策等に対する集中支援」に2017年度比60億円(0.5%)増の1兆1117億円、「道路・河川管理施設等の老朽化対策などの戦略的な維持管理・更新」に同260億円(4.8%)増の5669億円を計上する。
国土交通省の試算では、2013年度における社会インフラの維持管理・更新費は約3.6兆円だったとし、2023年度には4.3〜5.1兆円、2033年度には4.6〜5.5兆円に増加すると推計する。よって同社では、公共事業分野は2018年以降も引き続き堅調に成長するとみている。
国土交通省が公表する、公共と民間を含めた月別の受注工事高と手持ち工事高の推移では、受注工事高はやや減少しているが、手持ち工事高(受注済み工事金額のうち、期末時点で工事が終了していない金額)は増加しており、2017年8月には34兆円を超えて過去最高水準に達したという。
2017年10月時点の手持ち工事高は、前年同月比5.9%増の34兆4949億円にまで膨らんでいる。このことより同社では、手持ち工事の消化が順調に進むことで、建設各社が2018年度も好調な売上高を期待できると予想する。
一方で、東京オリンピック・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場の建設(工事費約1490億円)、選手村の建設(同約129億円)、オリンピック関連の各種競技場の建設(同約1829億円)などが、2019年頃に一斉に竣工を迎える。さらにオリンピック開催に関連した社会インフラ整備や首都圏の大型再開発事業も、今後順次仕上げ段階に入るとし、工期順守のための人材確保が業界で重要な経営課題になると指摘する(関連記事:建設技術者は2025年に約11万人不足、生産性向上と働き方改革がカギ)。
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