発表では、協調リンク機構を採用した3種類のロボットハンドを紹介。1つ目の「F-hand」は協調リンク機構の開発・性能試験を行うためのもので、2つ目の「オリガミハンド」はその名の通り1枚の“紙”が材料となるロボットハンドとなる。これらは都立産技高専が主な開発担当となった。3つ目の「New D-hand」は産業用ロボットへの適用を目的としたロボットハンドであり、実用化研究開発を担当するダブル技研により開発された。
F-handは人の手に非常に近い形状を取り、人間用のグローブや工具をそのまま活用できることがメリット。従来のロボットハンドでは丸形ドアノブが滑りのため把持できず、ドアを開閉することは非常に困難だったとして、深谷准教授は「福島第一原発の現場でもドアが開閉できずロボットが撤退したという話を聞いているが、このロボットハンドではドアノブを把持しドアを開閉することが可能」と自信を見せる。
建築分野での活用シーンとして、ロボットによる立て付け具や建材の搬送、人間用工具を把持して作業員とロボットの協働作業が可能だとする。また、電装系がシンプルなため耐久性が求められるインフラ現場や災害対応での活用も考えられるとした。
F-handのデモでは画像認識を用いた自動操作によって、細く滑りやすいワークとして油性ペン、小さく柔らかいワークとしてイチゴをロボットハンドが把持し、汎用性と把持時の安定性をアピールした。
オリガミハンドは協調リンク機構の特長を持ちつつ、生産・廃棄コストが非常に小さい紙が材料のため、使い捨てが可能なことが最大のメリットとなる。これにより、食品・衛生分野での活用や金属固着が問題となる宇宙空間での利用が想定されている。
New D-handは産業用ロボット汎用ロボットハンドであり、ワークに合わせてロボットハンドを調達・交換する必要がある現状のロボットシステムから、導入コスト低減や生産性向上が期待されている。指先なじみ機能により、ワークを把持するタイミングでのワーク形状と位置のズレを許容しつつ、産業用途で重要となる位置決め精度の確保を両立させた。
これらロボットハンドと要素技術は、NEDOが推進する「次世代人工知能・ロボット中核技術開発」プロジェクトの一環として開発され、現在は先導研究の最終フェーズにあるという。2018年度から2年間の研究開発期間に入り、実用化は2019年度以降を目指す。
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