ダッソーがCDFFの大きな強みとして挙げるのが、大容量データへの対応と、設計テンプレートと自動設計を活用した作業の効率化だ。3Dモデルに詳細な情報を付与していくと、必然的に全体のデータ容量が大きくなり、扱いにくくなる。だが、CDFFでは100キロメートル四方のデータでも容易に扱える点が強みだという。
また、豊富な3Dの設計テンプレートを用意している。橋梁の配筋などについて「ナレッジ・テンプレート」と呼ぶテンプレートを数千単位で用意しており、ユーザーはこのデータを利用して設計を進めることができる。また、設計の調整が必要な場合にも自動設計機能によって、干渉しない最適な配筋のデザインを作成するといった機能も備えているのが特徴だ。一部分の設計情報を変更すると、それに応じて全体を自動で調整し、干渉しないモデルを作成するといったことも可能だという。
この他、作成した3Dモデルから、2Dの製作図を作成する機能も備える。こうしたデータと、現場や完成物の写真など、その後の維持管理に必要なデータを一元的に管理することも可能だ。
国内の土木業界ではi-Constructionというコンセプトの基、ドローンを活用した3次元測量や、改造した建機による無人化施工などのICT活用が活発になっている。だが今後、“その次のステップ”として焦点になるとみられるのが、コンクリート工事の効率化および標準化に向けた取り組みだ。現場打ちの効率化や、プレキャストをより活用していく動きも進み始めている。
ダッソーのシニア・ソリューション・コンサルタントを務める清水卓宏氏は「配筋は現場合わせでも対応できるといった意見もあるが、プレキャスト化が進めば、配筋のデザインにも高い精度が求められるようになる。その際に、CDFFのようなソリューションは大きく寄与すると考えている。また、コンクリート工事に関する企画の標準化については、ベンダー側からの提案が少なく、遅れているという認識だ。ダッソーではこの領域についてのソリューションを持っており、標準化に向けたアプローチの支援も可能だ」と述べる。同社は大手土木コンサルタントやゼネコンを中心に提案を進めていく方針だ。
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