大成建設と東洋鋼鈑は薄型の水平光ダクトシステムを開発した。建物内部に太陽光を効率的に誘導できるシステムで、高さ100mmと従来より大幅に薄型化を図った。これにより、建物の階高を高くすることなく、窓のない廊下や自然光の入らない居室に太陽光を導くことができるという。
大成建設と東洋鋼鈑は共同で、高さ100mm(ミリメートル)の薄型水平光ダクトシステム「T-Light Duct100」を開発した。建物内部に太陽光を効率的に誘導できるシステムで、建物の階高を高くすることなく、窓のない廊下や自然光の入らない居室に太陽光を導くことができるという(図1)。
建物の条件によっては、窓を設けることができず、日中でも人工照明を常時点灯せざるを得ない廊下や居室がある。現状、このような状況を解決するために用いられる光ダクトシステムは、採光部から取り込んだ太陽光をダクト内で複数回反射させながら建物内部に導くため、ダクト設置用のスペースが必要となる。また、太陽光は反射させるたびに減衰するため、ダクト内で太陽光の反射回数を極力低減させることが求められ、これまでの水平光ダクトシステムでは、天井裏に高さ400mm以上のダクト専用スペースが不可欠だった。
そのため両社は共同で、外壁採光部で取り込んだ太陽光をプリズムにより水平光に変換して建物内部に導く、高さ100mmの同システムを開発した。これにより、通常の階高でも、窓のない廊下や自然光の入らない居室に太陽光による照明適用を可能とした(図2)。
同システムは、建物外壁部分にプリズムを備えた薄型の採光部を設置し、季節により様々な角度から入射する太陽光をプリズムの作用により水平方向の光に変換することで、ダクト内の反射回数が低減され、従来の光ダクトの2倍となる高い採光効率(光ダクトに入る光量に対する光ダクトから出る光量の割合)を実現した。
また、プリズムを用いて太陽光を水平方向に導くことで光ダクトの高さを100ミリに薄型化し、通常の階高での設置が可能で、また、外観デザインとの調和を図ることができる。
さらに同システムでは、室内を均一に照らすだけでなく、光を水平方向に導くことで、その変化を直接感じ取れ、木漏れ日のような自然光を会議室や休憩室などに提供するなど、用途に応じた効果的な演出が可能となる。今後、両社はT-Light Duct100をオフィスや病院、集会施設などに対し積極的に展開していく方針だ。
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