大林組はCIMを活用した「コンクリート施工管理システム」を開発した。施工管理の効率化に寄与できるだけでなく、3Dモデルに付与した施工記録などの属性情報を利用し、竣工後の維持管理にも活用できるシステムだ。
大林組とスカイシステム(東京都中央区)は、ICTとCIMを活用したコンクリート施工管理システムを共同開発した。同システムを用いることで、より正確で効率的な施工管理が可能になるとともに、一元化された情報は施工後の維持管理に活用できるという。
近年、道路やダムなど多くの社会インフラが更新時期を迎えている。これらの構造物のほとんどはコンクリートが主要な材料となっており、更新に当たっては、コンクリートの施工精度が構造物の品質に直結する。コンクリートは時間の経過とともに流動性が低下するという特徴があり、一定の時間内にコンクリート打設が終了しない場合には、先に打設したコンクリートの上に、後から打設したコンクリートが一体化しない状態となって打ち重ねた部分に不連続面が生じる不具合であるコールドジョイントや充填(じゅうてん)不良などの不具合が生じやすくなる。
従来はこれを防止するために、現場を監督する技術者がコンクリートの練り混ぜ開始から打設終了までの時間や、打重ね時間間隔、打設場所(区画)などをメモに記入して管理していた。しかし、道路やダムなどの大規模工事では広範囲にわたり何度もコンクリートを打ち重ねることから、手書きのメモに頼らない、正確かつ効率的な管理が課題となっている。
今回開発したコンクリート施工管理システムには、生コン車での練り混ぜ開始から荷下ろしまでの時間をICタグやGPSで記録する機能と、打設の開始・終了時刻を記録する機能があり、それぞれの時刻がタブレット端末やPCに表示される(図1)。
また、打設の制限時間が近づくと警告を表示する機能があるため、現場を監督する技術者や技能労働者は、時間管理に労力をかけることなく施工を進めることができる。それにより品質管理に重点を置けるようになるため、高品質なコンクリート構造物を安定して構築することが可能になるという。
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