「繋がりの時代」における建設プロセスBIMで変わる建設業の未来(2)(2/3 ページ)

» 2016年10月20日 06時00分 公開

「モデルファースト」が鍵に

 繋がりの時代においては、建設プロジェクトのプロセス全体において「モデルファースト」という考え方を徹底することが鍵となってくる。従来の紙の図面やCADのプロセスを部分的に最適化するために3Dモデルを活用するだけではなく、より設計の手前の部分からBIMデータによる連携を行おうという考え方だ。こうしたモデルファーストを推進するための、ツール側の進化も進んでいる。

「モデルファースト」による設計、製造、監理、施工プロセスのイメージ 出典:オートデスク

 自社の例で恐縮だが、例えばオートデスクの提供する「FormIt」という製品は、クラウドベースの3Dモデリングツールだ。従来、デザインといえば、ペンや鉛筆によるスケッチ、あるいはスタイロフォームによる模型作成を何度も繰り返してデザイン品質を高めていた。FormItはこうした作業をiPadとスタイラスペンで行うことができる。直感的に3Dモデリングを行いながら、スケッチと模型作成を同時に行っているという感覚になる。

 また、こうした初期の段階で構築した3Dモデルを、「Dynamo」や「Insight 360」と繋ぐことで、パラメトリックなモデルでシミュレーションを同時に行い、インテリジェントなデザインを行える。

 こうしたボリュームモデルをその場限りのデータにするのではなく、BIMツールである「Revit」とクラウド上のデータとして連携させることで、シームレスなワークフローを構築できる。建築プロセスの初期段階のデザインにおける3Dモデルを中心とした考え方を実践しているといえる。

 このようなモデルファーストという考え方は、デザイン段階だけでなく、製造、施工、さらには運用管理の段階にも広がりを見せていている。従来は各段階で分かれていた情報が、さまざまなツール同士がクラウド上のデータベースで繋がるようになり、2D、3D、属性情報といった幅広いBIMデータを中心にしたワークフローを構築できるようになっている。

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