地球温暖化対策による国際世論が高まる中、政府がCO2排出量削減の1つのポイントとして挙げているのが「ビルの省エネ化」である。この中で注目を集めているのがエネルギーを消費しないビル「ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」だ。まだまだ技術的なハードルは高いが、平成28年度の実証事業の交付決定事業者20社が決定した。
ZEBとは「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル」のことで、年間の1次エネルギー消費量が正味でゼロとなる建築物を指す。簡単に言い換えると、年間でビルが使う電気の消費量よりもビルの発電する電気の方が多い(ゼロ以上)になる建築物を指す。日本のエネルギー消費では、電気の使用量が多い一方で削減が進んでいない「業務分野」の対策として、期待が寄せられている。
ZEBは建設会社によって定義が異なる他、技術も含めたハードルなども多かった。そこで経済産業省資源エネルギー庁などが進めてきた「ZEBロードマップ検討委員会」によって、これらを解決するための道筋を検討。2015年12月に「ZEBロードマップ検討委員会とりまとめ」が行われた。
同検討委員会では、ZEBの定義や実現に向けての課題などが示された(図1)が、その中の1つに生きたノウハウの集約がある。ZEBはいまだに確立された手法があるわけではないので、実現・普及に向けた建物用途や規模、地域などによる技術や設計手法、コストや利益に関する情報を集約・蓄積し、ZEB設計ガイドラインとして整理・更新することで広くノウハウを共有し、ZEBの普及に役立てようというものである。
今回の実証事業は、この課題を解決すべくZEB設計ガイドライン策定に求められるZEB実証事業を公募し、ZEBの構成要素となる高性能建材や高性能設備機器などの導入に関係する情報の提供に同意する事業者に対し、その費用の一部を補助するものである。
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