竹中工務店がYKK APと共同開発を進める高断熱ファサードは、ビル外皮の断熱性能を高めるためのものだ。1年を通じて寒暖差の大きい日本では、ビル外皮の断熱性能を向上することがビルの省エネルギー化に大きく貢献する。
高断熱ファサードは、外側と内側の2つのユニットで構成している。外側ユニットは、アルミフレームとブラインドを内蔵した2枚のガラスからなり、このブラインドで季節や時間に応じて日光を反射する。このブラインドにより、年間を通じた外皮からの熱負荷を半減できることをシミュレーションで確認できたという。内側ユニットは、木質材料や樹脂を使用した断熱フレームとなっており、フレームを通じて伝わる熱を遮断する役割を担っている(図3)。
性能については、従来のアルミフレームサッシやLow-eガラスなどの標準的なビルの外皮と比較した場合、2.7倍高い断熱性能を持つことを確認できたという。内側ユニットについては後付けする仕組みとなっており、断熱性能をより高めるリニューアルにも対応できるようになっている。
竹中工務店は今回開発した高効率調湿外気処理ユニットと高断熱ファサードを、2016年2月をめどに実用化する方針だ。さらにこの2つを組み合わせたシステムを最新の事務所ビルに導入し、60%以上を目標に空調の一次エネルギー消費量の削減効果を検証していく(図4)。
なお高効率調湿外気処理ユニットについては、2015年8月から同社の実験棟で実用化に向けた検証を進めており、さらにZEB化を目指した改修工事を行う竹中工務店 東関東支店に先行して適用する。その後は一般オフィスビルのZEB化ニーズへの対応と、ZEBの普及促進を目的に製品として展開していく予定だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.