三井不動産は東京都品川区の築50年を超える共同住宅「長者丸ハイツ」を、リファイニング建築により新築同等の建物「リハイツ長者丸」に再生した。
三井不動産は2026年9月7日、リファイニング建築を用いた「老朽化不動産再生コンサルティングサービス」を活用して再生を進めていた東京都品川区の築50年を超える共同住宅「長者丸ハイツ」が、「リハイツ長者丸」として竣工したと発表した。
建物所有者と事業主が松岡地所、三井不動産プライベートソリューション部が事業全体をコーディネートし、三井不動産レジデンシャルリースが賃貸企画と竣工後の運営管理を担当した。設計/監理は青木茂建築工房、施工は日本建設。
築年数の経過した建物は、耐震性の問題や仕様/設備の老朽化に加え、検査済証未取得など制度面の課題が再生の障壁となるケースも少なくない。
今回の物件は延べ床面積約2115平方メートル、1968年築、4階建ての旧館と、1974年築、7階建ての新館から成る共同住宅。構造はRC造一部SRC造。工事種別は大規模の模様替。2025年2月に着工し、2026年8月に竣工した。物件は建て替えを行う場合、既存建物の建築時にはなかった日影規制などの建築基準法の規制を受けることから、現状より建物規模の縮小が想定されていた。三井不動産は、青木茂建築工房独自の建物再生手法であるリファイニング建築を活用。現行法規に適合させながら、建物の機能更新と長寿命化を図った。
リファイニング建築は、既存躯体以外を解体し、躯体補修と耐震補強によって現行法規のレベルまで耐震性能を向上させるとともに、デザインの転換や設備を刷新して、新築同等に再生するというもの。リノベーションとは異なり、建物の長寿命化を図ると同時に、竣工後には新たに検査済証を取得することが特徴だ。
事業では、既存躯体の約80%を再利用し、同規模に建て替えた場合と比べて、建築費を約3割削減した他、工期も短縮した。さらに、CO2排出量を約60%削減した(青木茂建築工房の自社調査に基づく試算結果)。
建物の不良箇所の調査や補修とあわせて、耐震補強などを実施。耐震壁を新設することで、耐震指標Is値0.6を確保した。
旧館では、従来の階段室型住戸を屋内廊下型へと変更。住戸へのアクセス性を高めるとともに、雨天時の利便性や防犯性にも配慮した。これまで階段として利用していた空間は住戸に再編し、既存空間を有効活用。エレベーターを新設することで、日常的な利便性とバリアフリー性を向上させた。
新館では、ピロティや借室を活用し、セキュリティエリア内に駐輪場や宅配ボックス、ごみ保管庫を新設した。既存建物にはなかった多目的スペースも設け、入居者向けの機能を拡充した。
なお、新館は建築当時の検査済証が未取得だったが、今回の事業で新たに取得することで、建物全体としての順法性を確保した。断熱性能の向上や設備更新等により、省エネルギー性能の向上にも配慮した。
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