主な更新箇所は、トンネルは1964年に供用を開始した「羽田線羽田トンネル」と、橋梁は1978年開通の「湾岸線荒川湾岸橋」。
羽田トンネルは、300メートルの海底トンネルで、塩分を含む漏水による鉄筋腐食に起因する損傷を確認。更新工事の内容は中床版の取替えで、2025年度に工事着手を予定している。
荒川湾岸橋は、橋長840メートルで、河口付近に位置し、塗膜が下地から広範囲にわたり剥(は)がれ落ち、鋼材の腐食などが想定以上に進展している。そのため、既存塗膜を下地から全て除去し、新たに高耐久な塗装を施す。
他の高架橋については、床版は、1972年基準より前のものは床版厚が薄く、鉄筋量も少ないため、これまで床版下面を補強していたが、剛性低下とたわみ増大のリスクが顕在化しつつある。そこで床版上面から、床版を増厚する工法を採用して対策する。支承部は、目視点検が困難な箱桁構造をI桁に構造改良し、維持管理性を向上させる。
新技術を活用した危機管理や災害対策では、インフラ維持管理の情報も網羅しているi-DREAMsを総合防災情報システムとして中心に据え、災害発生時にハザードマップや被災情報を一元管理する体制を構築する。
首都直下地震への対応では、ドローンやセンサーを活用した被害情報収集や支承補強となる段差防止構造の設置など耐震性向上を行う。気象災害に対しては、車載画像と気象データをもとにしたAIで路面状況を予測する技術開発を検討。トンネル火災でもAIを活用し、交通管制用テレビカメラの映像から煙を検知し、各種防災設備の早期起動で被害拡大を防ぐ仕組みを構築する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.