ジョンソンコントロールズは、データセンター(DC)のビルオートメーションシステム(BAS)や自動制御設備の設計・施工を統括する「データセンター戦略室」を社内に新設した。省エネ、セキュリティ、BCPなど多様化する顧客の要望に対し、データセンターの基本機能を踏まえた上で、求められるサービスを効率よく提供することを目指す。
データセンター(DC)建設に関するニュースを頻繁に目にするようになった昨今だが、その背景には、コロナ禍を契機としたネットにつなげば場所を限定せずに、アクセスできるクラウドサービスの利用拡大がある。特にMicrosoft AzureやAmazon Web Services(AWS)、Google Cloudといったパブリッククラウドサービスの急成長が続き、同時にクラウドサービスプロバイダーに大規模データセンター設備を貸し出すサービスも伸びている。
事実、日本でのデータセンター市場は堅調に推移し、IDC Japanの調査によれば、2022年の国内データセンターサービス市場は、前年比15.3%増の2兆275億円と、初めて市場規模が2兆円を超え、2021年〜26年の年間平均成長率は12.8%の高い成長率を維持し、2026年の市場規模は3兆2083億円になると予測している(出典:IDC Japan「国内データセンターサービス市場予測を発表」)。
データセンターのビルオートメーションシステム(BAS)や自動制御設備の設計・施工から、保守運用までを担うジョンソンコントロールズは、長年にわたり、質の高いサービスを提供してきた。国内の新築受注量は過去2年で2倍となり、国内の主要な垂直市場の1つとなっているという。
次の展開で目指すのは、顧客の要望に確実かつスピーディーに応え、市場で確固たる地位を築くことであり、その足掛かりとして発足した「データセンター戦略室」について、データセンターソリューション戦略室 室長 兼 執行役員 吉田勝彦氏と営業開発統括部 営業1部長 須田征人氏に聞いた。
多くのサーバを格納するデータセンターには、一般的なオフィスビルとは異なる機能が求められる。データセンターは24時間365日の連続稼働が前提となり、BCP対策やセキュリティ、さらにPUE(Power Usage Effectiveness)という指標で示される電力使用効率にも配慮が必要となる。
実現のために、データセンターの建設には冗長化や堅牢性に向けた設計が求められる。また、空調や電源、通信回線といった部分でも、特殊なノウハウが投入される。
ジョンソンコントロールズは、こうしたデータセンターの設計・施工から運用、その後の修繕/保守までを一貫して提供する。同社は、データセンターの建設に対する知見に加え、センター内に設置するサーバなどの機器の状態を監視する独自ソリューションを持ち、運用サービスなどに関しても多くのノウハウを蓄積している。
ジョンソンコントロールズは、日本でも、外資系企業が日本に置くデータセンターに強く、千葉の印西エリア、東京エリア、大阪府箕面市の彩都(さいと)エリアなどで多数の実績を有する。新設したデータセンター戦略室は、好調なデータセンター事業を効率化し、需要が増える中で、顧客にさらに高い満足を提供することを目標としている。
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