「第5回 建設・測量生産性向上展」で前田製作所と前田道路が出展。前田製作所は「環境」を切り口に、同社における建機の全電動仕様化の取り組みを紹介し、前田道路は、舗装工の省人化・省力化を実現する2つのICTをパネルで展示した。
前田製作所と前田道路は、幕張メッセで開催された「第5回 建設・測量生産性向上展(CSPI-EXPO 2023)」(会期:2023年5月24〜26日、幕張メッセ)に共同ブースを出展した。
前田製作所は、長野県長野市に本社を置く建設・産業機器メーカー。自社製品の開発/製造/販売、建設機器メーカーコマツの長野/山梨/愛知/三重4県の総販売代理店としても事業展開している。
前田道路は、東京都品川区に本社を構え、土木建築工事・道路舗装工事などを請け負う道路舗装大手。共にもとは前田建設の連結子会社だったが、2021年10月に前田建設と前田製作所、前田道路の3社で共同持ち株会社インフロニア・ホールディングスを設立している。
前田製作所のコーナーには、ひと際目立つ緑色のボディーを持つ1台のクレーンが展示されていた。前田製作所が開発・販売する自走式揚重クレーン(通称"かにクレーン")「MC285CB-3」だ。最大定格総荷重2.82トン×1.4メートル、最大作業半径8.205メートル×0.15トン、最大地上揚程8.7メートルで、“かにクレーン”では小型に分類される。
MC285CB-3の最大のアピールポイントは完全電動仕様であること。ブースの製品紹介担当者は「環境対応は今、ユーザーからの問い合わせが多い。MC285CB-3は全電動仕様でCO2を排出しない。カーボンニュートラルを意識するユーザーの要望に応える製品だ」と話す。騒音や排ガスの匂い問題もクリアになるので、建物が密集する都市部の工事現場への導入にはメリットが大きい。
電源には、超寿命・繰り返し充電可能なリチウムイオンバッテリーを採用。満充電にかかる時間は3.5時間と短く(AC200V充電時)、満充電で連続走行ならば2時間15分程度可能。クレーン作業のみならば、荷物の吊り下など同社が想定作業で9時間30分と、1日の作業時間に十分対応できる。また、充電ケーブルを接続して操作中に充電することもできるため、外部から電源供給が可能な現場では更に長時間の連続運転も可能だ。
前田製作所は今後も、重機の電動化に力を入れていく。「小型のかにクレーンだけでなく、当社の主力製品であるクローラクレーンCC1485Sなどでも全電動仕様に対応できないか、現在検討を進めている。海外と比べて、日本国内の電動重機の普及は遅れている。更にバッテリー価格が高騰するなど、普及にマイナスとなる要素もある。重機の電動化やバッテリーのコストダウンなどについて更に研究を続け、電動重機の普及に貢献していきたい」と製品紹介担当者は展望を示した。
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